崖っぷち医院 ただいま経営立て直し中!

2014.06.05

崖っぷち医院 ただいま経営立て直し中!
収入が増えず「閉院した方がいいかも」と弱気に
2014/6/4 日経メディカル
 

 これから書いていくのは、開業して数年後に収入の伸びが頭打ちになってしまった当院が、医業コンサルタントの助けを借りて崖っぷちから這い上がり、軌道に乗せていくまでのストーリーだ。

クリニックの運営は、まだ私の理想とするレベルは達しておらず、立て直しの途上ではあるが、日経メディカル編集部からこれまでの軌跡を振り返ってほしいと頼まれ、まとめてみることにした。

 私が経営しているのは、無床の眼科クリニック。
白内障の手術は手がけておらず、検査などを中心に、こぢんまりとした形で運営している。

 収入の伸びが止まってしまったときには、「この先、お金が足りるのだろうか」という不安にさいなまれた。正直、「このまま収入が伸びないのなら、クリニックを閉めて勤務医に戻った方がいいかも……」と思ったこともある。

 当時、短期で組んでいた開業ローンの返済は既に終了していた。医療機器などのリース期間も終了まであと少しという段階であり、借入金の返済やリース料の支払いに支障を来すことはなかったものの、新たな設備投資などは難しい状況だった。


もっとも、これは後から考えればそうだったという話で、当時は具体的な資金計画まで考えるゆとりがなかったように思う。

 効果的な打開策を講じたいと考えた私は、医業コンサルタントの助けを借りることにした。支援を依頼したのは、日経メディカル Onlineの連載コラム「今のままでいいんですか?」の著者、裴英洙先生が社長を務めるメディファーム。コラムの読者の方々はご存じかと思うが、裴先生はMBAホルダーの医師である。

収入が再び増え始めた!
 連載では、これまで取り入れてきた打開策を基本的に時系列で紹介していこうと考えているが、今回はまず現時点での成果をまとめておきたい。
初めに成果を示した方が、読者の方々にも信用していただけると思うからだ。

 現在、コンサルテーション開始から既に1年以上が経過している。

この1年間の保険点数を前年同期と比較してみると117.3%であった。
ちなみに過去に遡って対前年度比を計算してみると、5年前の時点では118%、4年前が111.5%、3年前が106.8%と年を追うごとに低下(悪化)しており、テコ入れ策を講じたことで5年前の増収レベルに戻った形だ。

この1年間と前年度の比較データをもう少し示すと、初診患者数は95%と微減しているが、再診を含めた患者数全体では111%、患者1人当たりの点数は105%と増えている。

 といっても、何か特別な手段を講じたわけではなかった。
毎月メディファームのスタッフとミーティングをして医院の目指す方向を確認し、問題点を洗い出し、できることを考えていく、という地道な方法である。

 うまくいかなかったこともあるし、できなかったこともある。すぐに効果が見えるものは少なかったが、1年たって振り返ると、確実に実を結んできているのが分かってとてもうれしい。
単なる増収にとどまらず、「こういう外来にしたい」という理想に近づきつつあるとの手応えも感じている。

速攻で改革できる手法を期待していたが…
 初回のコンサルテーションで裴先生は、「こうすれば収入が増える、というような一つの方法があるわけではありません。
いろいろやってみて、どれかが成果を上げていくというふうに考えてください。

問題点を『見える化』した上で、できることを一つひとつ一緒に考えていくことがコンサルテーションとなります。僕らが提案したことであっても、やりたくないことはやらなくてよいし、逆に自分で思いつくことはどんどんやってみてください」と言った。

 正直に言うと、このコメントにはちょっとがっかりした。
お金を払うなら、何か特別なことを教えてもらえ速攻で改革できる、と密かに期待していたのだ。今から思えば当たり前なのだが、そのような“魔法”は存在しない。

 当院がやってみたことは、端から見ればくだらなく思えるようなものかもしれないし、既にいろんな人が実践していることかもしれない。
とはいえ、当時の私が気づいていなかった方法であり、それがどう増収につながっていったのかをリポートすることには意味があるのではないかと考えている。

 医院経営には診療科目や開業場所、診療形態、院長の経営方針など様々な要素があり、経営改善策も個々の診療所によって異なる部分があるだろう。
当院でうまくいったことがどこでも当てはまるわけではないと思うが、何か読者の方々のお役に立つことができればと思う。


Dr.裴のコメント
 今回はご縁があって、経営改善のお手伝いをした。医療機関経営にとって最も大切なものは“覚悟”。
問題を冷静に捉える覚悟、改革に着手する覚悟、職員を説得する覚悟、変化を受け入れる覚悟、そして、経営者としての改善をやり遂げる覚悟だ。


経営者が変われば組織は変わる。組織が良い方向に変わると患者数も伸びる。
  先生にお会いしてみて、その覚悟を感じた。覚悟があると真摯にデータに向かうことができる。コンサルタントは覚悟の“種火”をつけるのが最初の仕事だが、今回の事例では、その第一関門を超えることはさほど難しくなかった。