東北で医学部新設、3構想出そろう 主体は大学・病院・自治体

2014.06.02

東北で医学部新設、3構想出そろう 主体は大学・病院・自治体
2014/5/31 日本経済新聞
 

東北に大学医学部を新設する3つの構想が出そろった。文部科学省の募集期限だった30日、東北薬科大学(仙台市)、脳神経疾患研究所(福島県郡山市)、宮城県の3者が申請した。

それぞれ立地の意義や既存施設との連携を打ち出したほか、急速な高齢化で医師不足が深刻となっている東北への卒業生の定着策も提示した。
国は今夏にも1つを選定する。

 文科省は6月に選定作業に入る。
教育や医療の有識者による審査会の議論を経て、文科相が厚生労働相、復興相と協議して結論を出す。
2016年春の開学を目指す。

 それぞれの構想の事業主体は、大学、病院、自治体とばらけた。
東北薬科大は薬学教育との連携、脳神経疾患研は大規模な病院グループを抱える点を強みにしている。
宮城県は県立宮城大学(大和町)の看護学部との相乗効果などを見込む。

 キャンパスの場所も審査のポイントになりそうだ。

薬科大は仙台市内への開設を計画。
教員や学生、付属病院の患者の利便性を重視し「人が集まりやすい仙台で育てた医師を、東北全域に再配分する」との構想だ。

宮城県は過疎化が進む県北の栗原市を選び「仙台への医師の一極集中を緩和する」(村井嘉浩知事)という。

脳神経疾患研は原子力発電所事故のあった福島県で医師を育てる意義を強調している。

 卒業生に東北の医師として根付いてもらう仕掛けも競い合う。
宮城県の構想は定員60人全員に入学金や学費、奨学金を貸与する優遇措置を設ける代わりに、東北の自治体病院への10年間の勤務を義務付ける。宮城県に20人、他の5県に8人ずつ配置する。

 薬科大は奨学金制度の充実を掲げ、脳神経疾患研も定員の100人全員を奨学生にする計画。
宮城県は薬科大が選ばれた場合も、卒業後に域内で勤務することを条件とした入学枠を拡充するためのファンドを設けて支援する方針だ。

 東北の医師不足は全国的にみても顕著だ。東北6県の人口10万人当たりの医師数は12年末時点で209人となっており、全国8地域で最少。最多の四国とは70人近い差がある。


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東北新医学部、3団体名乗り 今夏にも決定
2014.05.31朝日新聞


 東北地方の大学医学部新設を巡り、計画を公募していた文部科学省は30日、3団体から応募があり、申請を締め切ったと発表した。

申請したのは東北薬科大(仙台市)と宮城県、総合病院を経営する脳神経疾患研究所(福島県郡山市)。
選ばれた1団体が、2016年度の開設に向けた準備を進める。


 「原発事故の被災県だからこそできる教育がある」

 脳神経疾患研究所の渡辺一夫理事長は30日、文科省で訴えた。
学校名も「国際復興記念大学」とし、「復興」を強調。放射線研究所を設け、原発事故に対応できる医療態勢をつくることを申請書に盛り込んだ。

 地元の商工会議所会頭が参加する「県への医科大学誘致を推進する会」は1カ月で約20万人の署名を集めた。
9日のシンポジウムでは福島在住の作家玄侑宗久氏が「身内の死に直面し、医療に従事したいと考える子の意欲は県内で受け止めるべきだ」と話した。

 東京電力福島第一原発事故後、福島では医療従事者の流出がとまらない。
震災後の2012年に県内で働く医師は、10年より195人減少。被曝(ひばく)の健康への影響や心のケアへの対応も間に合っていない。

 医師不足は他の被災地でも深刻だ。
宮城県の村井嘉浩知事は昨年10月、安倍晋三首相に「被災地医療を支える人材養成のために必要だ」と東北地方への医学部新設を訴えた。

 29日に県立の医学部をつくる意向を発表した村井知事は「医師不足に対する県の役割を考えた」と述べた。医師が特に少ない県北部の栗原市に新キャンパスと付属病院をつくり、卒業後10年間は東北地方での勤務を義務づける。

 一方、東北薬科大(仙台市)は「地域医療に貢献する意欲と使命感を持った医師の育成」をめざす。
高柳元明学長は「薬剤師を養成してきた実績がある」と強調。
卒業後も東北で一定期間働くことを条件にした奨学金制度や、10人程度の東北出身者の「優先枠」を設ける方針だ。(小宮山亮磨、江戸川夏樹)


 ■選定基準は教員確保

 医学部の新設は、東北地方の震災復興と医師不足の解消が目的だ。認可は2015年8月になる見通しで、1979年に設置された琉球大以来となる。
申請した3団体は、いずれも2016年度の開設を目指している。
文科省は6月にも医療関係者や大学教育の専門家らで有識者会議を立ち上げ、1~2カ月ほどで1団体に決める予定だ。

 文科省によると、選定ポイントは、教員となる医師をどうやって確保するかだ。
今回の場合、専任教員は少なくとも130~140人必要になる。
長く医学部の新設が認められてこなかった背景には、教員に引き抜かれて現場の医師が減り、地域医療のサービス低下が心配されたからだ。
今回の新設も、日本医師会などが強く反対している。

 文科省はこうした声にも配慮し、東北の病院に限らず全国から医師を集める具体策を求めており、選考では重視するという。
ただ、方針に沿うには時間がかかるため、文科省は4月、当初めざした2015年の新設を1年間先送りした。

 有識者会議で団体が選ばれると、今度は専門の審議会による設置認可の審査がある。
この段階で、有識者会議で示した専任教員の確保や、カリキュラムについてのめどがついている必要があるという。

 文科省の担当者は「選んでおきながら不認可ということがあってはならない。必要な準備の助言などをしてサポートする」と話している。(高浜行人)


 ■医学部新設を申請した3者の主な長所と短所は?

 ◇宮城県

 1学年の定員(予定) 60

 【長所】運営主体が行政のため、他自治体と連携しやすい

 【短所】税金を投入する必要がある


 ◇東北薬科大(仙台市)

 1学年の定員(予定) 100

 【長所】薬学に強い医師を育てることができる

 【短所】医師のネットワークが弱い


 ◇脳神経疾患研究所(郡山市)

 1学年の定員(予定) 100

 【長所】放射線研究所を建築予定

     原発事故対応を支援できる

 【短所】学校運営の経験がない

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医学部 県は2案併記 新設申請 薬科大 名称変更を計画=宮城
2014.05.31 読売新聞


 東北地方への大学医学部新設を巡り、県と東北薬科大(仙台市)、脳神経疾患研究所(福島県郡山市)が30日、文部科学省にそれぞれ申請を行った。
今後、有識者でつくる構想審査会で審議され、早ければ6月末にも1校が選ばれる見通しだ。

 県は、新たに単科の医大を開学する案と宮城大(大和町)に医学部を開設する案を併記した。

現在は、薬学部のみの単科大である東北薬科大は、医学部の開設に合わせ、東北医科薬科大に名称を変更する計画だ。

脳神経疾患研究所は、大学の運営を行う法人を新たに設立する。
3者とも、2016年4月の医学部開設を目指している。

 文科省は、近く構想審査会の委員十数人を選定し、6月中旬までに初会合を開く。

 審査会では、医学部の設置基準に加え、文科省が昨秋に発表した基本方針をもとに審議する。〈1〉東北の医療ニーズに対応した教育を行う〈2〉医師などの引き抜きで地域医療に支障を来さない〈3〉自治体と連携して卒業生が東北に残る方策をとる--ことなどが条件だ。

 審査会について、文科省医学教育課は「最低3回は開く必要がある」としている。
申請者側に追加の資料や説明を求めたり、議論が長引いたりする可能性もあるが、担当者は「選ばれた1校の認可申請に必要な時間を踏まえると、遅くとも8月までには決めたい」と説明している。