建て替えと常勤医補充が急務 存続決定の桜川・県西総合病院、中原院長に聞く/茨城県

2014.05.29

建て替えと常勤医補充が急務 存続決定の桜川・県西総合病院、中原院長に聞く/茨城県
2014.05.28 朝日新聞



 筑西、桜川両市で実現をめざした新中核病院計画=キーワード=の方向が大きく変わって2カ月以上が経つ。筑西市単独で担うことになった病院建設に目立った動きがないなか、桜川市が運営・再整備にあたることになった県西総合病院の院長に4月、中原智子副院長(59)が就いた。

新中核病院建設を見据えつつ、県西総合病院が抱える医師不足や施設再整備など緊急課題と向き合う。

極めて厳しいかじ取りを任せられた中原院長に聞いた。


 ――桜川市とはどんな協議をしているのですか。

 大塚秀喜市長をはじめ、市の幹部が4月から5月にかけて、医師や看護師、技術系・事務系職員とに分けて意見や病院側の考えを聴いてくれました。

初めてのことです。病院の老朽化は著しい。築40年以上の病棟もあり、耐震性が非常に低いことは市長も承知しています。
一日も早い病院の建て替えと、医師不足への対応を同時並行で速やかに進める必要性を強調しました。

 ――常勤医師の不足が深刻と聞きますが。

 6月から常勤医は13人に減ります。内科の常勤医が3人と少ないことが深刻です。
内科医がいなければ、救急患者の十分な受け入れができない。それが現状です。
常勤の外科医も3人、整形外科医は1人です。
高齢者の患者が多いので呼吸器系、循環器系の疾患や、骨折した患者さんはたくさんいます。
医師の負荷が大きくなっている。
常勤医や看護師の高齢化も進んでいます。
常勤医では60代が1人、50代が3人です。

 ――どのような医師不足対策を考えますか。

 4月以降、各大学などにお願いに回っています。
病院の将来ビジョンや方向性を示さなければ、若い医師は来てくれません。
実現性が低いのは承知のうえで、この地域出身の医師に「故郷の病院で働きませんか」と手紙を書いています。子育てのため医療現場を離れた女性医師たちに復帰を働きかけてもいます。女性医師や看護師が働きやすい環境を整えていきたい。

 ――他病院との機能分化や連携強化は考えていると思いますが。

 県西総合病院には脳神経外科や産婦人科などの常勤医はもういません。
現状を踏まえれば、地域の病院間での連携強化や機能分化は十分に考慮しなければなりません。
例えば、脳卒中の患者さんなら、脳神経外科の強い近隣の病院にお任せするとか、そのような対応も考えています。

 ――「新中核病院」との機能分化については。

 県西総合病院は「病院」として存続するわけですから、新中核病院との役割分担は当然、考えなければなりません。

心疾患で新中核病院に入院し、急性期を脱し安定した患者さんを受け入れるとか。
場合によっては、その後、療養病床での対応も考えます。
ただ、今の段階では、新中核病院の姿が明確ではないので、機能分化について詳しい言及はできません。

 ――大塚市長は、県西総合病院の運営について民間的経営手法の導入を考えているようですが。

 市長は、できるだけ早い病院の建て替えを約束してくれています。
確かに、民間的経営手法の導入も強く打ち出しています。
今後、病院内でも勉強し、検討しなければならない課題だとは思う。でも、今はあくまでも「公立病院」としてめざすべき方向を探っています
。効率的経営は当然のこと。職員一人ひとりがしっかりとしたコスト意識を持つよう徹底していきます。

 ――どんな公立病院像を描きますか。

 常勤医不足や医師の高齢化など厳しい現状を考え、院内からも「救急病院返上を」の意見が出ています。
医師不足地域の公立病院である以上、それはできない。できうる範囲で地域医療を守らなければなりません。

 高齢化社会における公立病院の役割として、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や白内障などの予防や早期介入に一層力を入れたいと考えています。
私たちが地域に足を運び、きめ細かな教育講座を開いていきたい。子育て世代のために「病児保育」も考えています。「皆さんのすぐ脇にある心強い病院」として、市と協力しながら地域の健康と命を守っていきたい。(聞き手・吉江宣幸)

     *

 なかはら・さとこ 筑波大医学専門学群卒。大学病院で研修後、小児科医として県西総合病院一筋で地域医療を支えてきた。小児科医長や副院長などを経て4月、初の女性院長になった。


 ◆キーワード

 <新中核病院計画> 新中核病院建設は、県の地域医療再生計画として、筑西、桜川両市で進めてきた。筑西市民病院と県西総合病院(桜川市)の2公立病院を再編統合する計画だった。3月9日、新中核病院の建設は筑西市単独ですることなどを両市で最終合意した。筑西市民病院は計画通り病床のない診療所となるが、県西総合病院は172床の病院として存続する。県西総合病院は両市でつくる一部事務組合が運営しているが、桜川市単独で運営・再整備にあたることも合意した。関係者によると、組合は解散予定だが、手続きは進んでおらず、解散時期も明示されていないという。



朝日新聞社