総合診療医=かかりつけ医=プライマリケア医?

2014.05.28

総合診療医=かかりつけ医=プライマリケア医?

2014/5/28 石垣恒一=日経メディカル 
 
専門医の認定・評価を行う第三者機関「日本専門医機構」が発足し、2017年度の新専門医制度スタートに向けた準備が進んでいる。

 新制度の数ある特徴の中でも大きな目玉の一つが、19番目の基本領域としての「総合診療専門医」の新設。
要件や研修体制の具体的なイメージがどう固まるのかが注目されている。
「これからは総合医!」とは日経メディカルでも何度となく紹介してきたテーマだが、晴れて「総合診療医」が誕生するまでのプロセスについては、まだ見えない部分が多い。

 「総合診療専門医」について、今のところ出てくる疑問をざっと挙げれば

・臨床知識および経験をどう担保するか? 合わせて、日本内科学会の内科専門医の研修リソースは活用できるのか?

・患者の生活支援や社会的支援、地域医療への参画について、認定の基準や研修体制はどう確保するか?

・基本領域としての「総合診療専門医」の資格は、サブスペシャリティーの専門医資格を取得する条件とできるのか?

・現役の医師が「総合診療医」を取得する際の移行措置、あるいは外科系などから転科を検討する際の扱いはどうなるか?

・病院内における総合医、いわゆるホスピタリストは対象にならないのか?
――といったところだろうか。

 5月10~11日に岡山市で開催された日本プライマリ・ケア連合学会においても、総合診療専門医の展望に関するシンポジウムは満席状態。
会場からもこういった疑問が指摘される中、筆者の印象に残ったのが、「かかりつけ医、プライマリケア医、総合診療医、家庭医という言葉が並ぶ現状で、一般の患者が新しい専門医に対して正しく理解できるだろうか」という疑問だった。

 コメディカルスタッフの多くは「総合診療医=救急医」というイメージを持つとも聞くし、医療専門誌の編集部に身を置いていても、これらの名詞の書き分けは時にフィーリング頼みであることは否めない。

「各医師のプロフィールを一般の人に分かりやすく」が新専門医制度の要諦の1つである以上、同じ医師を指す言葉が複数ある現状の交通整理にも着手しなければならないということだろう。

 「総合診療医」の具体的なイメージが見えないのは現場の医師も同様のようだ。

やはり同学会で大阪府医師会調査委員会の岩本伸一氏は、会員を対象として2013年に行った「総合診療医」調査(回収数2140人)の結果を同学会で報告。

「総合診療専門医」の創設を支持するのはわずか19.2%にすぎず、最多の「支持しない」41.1%と「わからない」37.8%を合わせて、8割は総合診療医の創設を受容していなかった。
地域医療体制への影響についても、「総合診療専門医」の創設で38.1%が「支障を来すと思う」という結果だった。

 「総合診療専門医」への疑問や反対意見は外科系の学会などでも聞くことがあるが、そうした不信の背景の一つとなっているのは、総合診療医に抱くイメージは医師によっても様々であることだろう。

上述の調査でも、「外来でのゲートキーパー」(58.2%)、「かかりつけ医」(39.2%)から、「入院での専門科が不明瞭な症例のカバー」(19.9%)といった不定愁訴専門家まで、総合診療のイメージは分かれる。
既に地域で“総合診療”を担っているであろう現場の医師たちにして、「総合診療医」のイメージはいまだ漠としているようだ。

 もっとも、肩書を見て何をやっている人なのかよく分からないという状況は、聞いたことがない部署や横文字の肩書があふれる他の業界に比べたら、医療界はむしろましな方だろう。
その状況を改善しようという議論があることも含めて。弊社の辞令など、見ようものなら…(自粛)。