看護職員の離職率が改善されない限り、養成を促進しても需給状況を改善することは困 難であることから、定着の促進を図ることは極めて重要な課題となっている。

2014.05.27

定着促進
看護職員の離職率が改善されない限り、養成を促進しても需給状況を改善することは困
難であることから、定着の促進を図ることは極めて重要な課題となっている。
① 職場定着の現状
今般の看護職員需給見通し策定のために都道府県が実施した調査によれば、常勤退職
者の主な退職理由としては、本人の健康問題、人間関係、家族の健康・介護問題、出産
・育児、結婚等が多く列挙されていた。
この点に関しては、既に離職した看護職員となった者を対象として実施した社団法人
日本看護協会の調査においては、妊娠・出産、結婚、勤務時間が長い・超過勤務が多い
といった理由が挙げられていた。
また、都道府県が実施した調査における本人の健康問題という回答の背景には、看護
職員の不規則なシフト、夜勤回数の多さ、超過勤務の多さなど過酷な労働条件があるの
ではないかとも指摘されている。
他方、前述の都道府県による調査においては、看護職員の定着促進を促すために効果
を挙げている取組みについても質問をしており、調査票に回答した施設からは、有給休
暇の取得促進、人を育て個人を大切にする風土づくり、超過勤務削減のための取組み、
研修体制の確立、外部研修への援助等によるキャリアアップの支援、多様な勤務形態の
導入等が多く挙げられていた。
② 勤務環境の改善
入院医療への対応を考慮すれば、看護職員の勤務において夜勤という要素を切り離す
ことはできない。他方、医療の高度化等に伴い、勤務実態も多忙なものとなっているが、
夜勤による交代制勤務を伴う過酷な超過勤務の継続は慢性的な疲労に繋がり、医療安全
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の確保という観点からも問題ではないかとの指摘もある。
かかる状況の改善を図るため、労働時間管理への取組みを促進するほか、看護業務に
ついてもその効率化を推進していく必要がある。平成22年4月30日付け医政発04
30第1号厚生労働省医政局長通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推
進について」においても、医療関係事務を処理する事務職員(医療クラーク)、看護業
務等を補助する看護補助者等について、医療スタッフの一員として効果的に活用するこ
とが望まれるとされているところである。
③ 多様な勤務形態の導入、病院内保育所の整備
子育てや家族の介護といった事情を抱えながら就業を続けるためには、多様な勤務形
態を導入することが求められる。
多様な勤務形態のうち、フルタイムの正職員より一週間の所定労働時間が短い正職員
である短時間正職員制度を導入したことが、職員の定着、離職率の低下に一定の効果を
もたらしたという事例も本検討会に報告されたところである。
国においては、子どもを持つ看護職員、女性医師を始めとする医療従事者の離職防止
及び再就業を促進するため、医療機関に勤務する職員の乳幼児や児童の保育を行う事業
に対する支援を実施している。
また、都道府県においても、病院内保育所の運営や施設整備に対する補助を始めとし
て、短時間正規雇用等の看護職員の多様な勤務形態導入の支援に取り組んでいるところ
である。
引き続き、看護職員の定着に向けて、これらの支援施策の強化を図っていくべきであ
る。
④ 研修等による資質の向上
研修等による看護職員の資質の向上については、患者に対して良質な医療の提供を行
うことに繋がるとともに、看護職員需給見通し策定のために都道府県が実施した調査に
対する回答にも表れているように、看護職員にとって魅力ある職場環境に資するものと
して、定着へのインセンティブともなっているものと考えられる。
平成21年の保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保に関する法律の一部改
正法によって、看護職員は、免許を受けた後も、臨床研修その他の研修を受け、その資
質の向上を図るように努めなければならないと規定されたところである。
看護職員需給見通しの策定のための都道府県による調査によれば、新卒職員に特有の
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主な退職理由として、現代の若者の精神的な未熟さや弱さのほか、基礎教育終了時点と
現場とのギャップ、看護職員に従来より高い能力が求められるようになってきているこ
と等が列挙されている。
国は、看護の質の向上及び早期離職防止を図るため、新人看護職員が基本的な実践能
力を獲得するための研修を支援しており、都道府県もこうした取組みに注力している。
今後も新人看護職員研修の充実に努めるとともに、病院等において、教育研修を担う
職員に対する支援を講じていくべきである。
⑤ 訪問看護における確保対策
今般の需給見通しにおいては、訪問看護ステーションの看護職員の需要数について、
平成23年から平成27年にかけて約16.9%増加するものと見込まれていることか
ら、訪問看護という働き方に応じた確保策を講じていくことが求められている。
看護職員に対して訪問看護という働き方に関する広報活動を進めるとともに、訪問看
護ステーションについては、一般に事業規模が小さいことから、単独で研修を実施する
ことや、職員の乳幼児の保育に対応することが困難な面があるため、今後定着促進に向
けて工夫を講じていく必要性が高い。
また、訪問看護の利用者が重度化し、緊急対応も求められる中で、事業所規模の拡大
など訪問看護サービスを安定して提供できるような体制を構築することが必要である。