診療所経営駆け込み寺 経営の指標に無関心な職員たち、数値目標を意識させる良い方法は?

2014.05.20

診療所経営駆け込み寺
 経営の指標に無関心な職員たち、数値目標を意識させる良い方法は?

『日経ヘルスケア』2014年5月号より


【質問】
 毎年、経営の数値目標を立てて職員と共有しているのですが、経営への関心の低い職員が多いようで、半分近く達成できない状況が続いています。数値目標を意識させ、改善に向けて努力してもらう効果的な方法はありませんか。(内科、47歳男性)

【回答】
 職員の身近な指標だけを提示
 「ご褒美制度」など遊び心も
回答者◎(株)船井総合研究所 医療経営コンサルティンググループ 田熊 孝治


 経営数値の管理は、病院だけでなく診療所においても非常に重要だ。具体的な数字を設定すれば目標がクリアになり、達成したかどうかの判断ができる。
相談者のように、数値目標を職員と共有している診療所も少なくないだろう。

 しかし、目標を共有するだけでは不十分。
職員に意識させ、行動を変えさせなくてはならない。そのためには、スタッフの業務に直結する数値目標を提示し、行動の変化がその数値にどう影響するかを具体的に示す必要がある。

職員の努力で改善できる数字か?
 
診療所経営で把握すべき数値としては、レセプトの枚数や単価、毎月の延べ患者数のほか、人件費、広告宣伝費などが挙げられる。
ただし、これらには職員の努力によって改善できない項目も多く含まれている。そのすべてを職員と共有しても、彼らは具体的にどうしたらいいのかイメージを持てない。

 そこで、筆者の顧問先の診療所では次のような指標を選び、目標を共有している。
・紹介で来院した患者数
・診療終了時刻(診療時間の延長を減らすため)
・予約システムの利用率
・予約のキャンセル率
・レセプト返戻件数
・1日当たりの平均患者数
・初診患者の満足度
・残業したスタッフの延べ人数
・患者からの感謝コメント数

 これらは職員の努力次第で変動する数値で、目標達成のための具体的な改善行動に結びつきやすい。
例えば「予約システムの利用率」は、職員が窓口で声掛けをしたり、ポスターやパンフレットを制作して患者に周知すれば高まる数字だ。

数値を計測する手間を考慮
 職員の中には、数値管理と聞くだけでアレルギー反応を示す人も少なくない。そのため顧問先では、ミーティングなどの場でスタッフ自身に目標を決めてもらうことで、導入のハードルを下げている。また、自分たちで決めたものの方が、責任感とやる気も芽生える。

 数値目標を設ける際は、最初の半年間は導入期間とし、目標の項目数を3~5個にする。
開始当初から多くの目標を設定すると、スタッフが「やらされている」「数値でがんじがらめに縛られている」という感覚を抱いてしまうからだ。
導入期間を終えた時点で目標を適宜追加していけば、制度が定着しやすい。

 毎月の数値計測にかかる手間も考える必要がある。日常業務に支障を来さずに計測できるよう業務フローを工夫したい。

 例えば、口コミや他院からの紹介で来院した初診患者数を計測するには、月間の初診患者と紹介患者を抽出する必要がある。

毎月末にその月のカルテをすべて見直してカウントする方法では、スタッフの負担が増大してしまう。

 顧問先医院では、受付横に来院経路別の初診患者数をメモできる表を用意している。
マス目の縦軸には1カ月分の日付、横軸には「口コミ」「通りすがり」など来院経路別の項目を並べ、初診患者が来るたびに該当するマス目に正の字を記入。

1日の終わりに合計人数をまとめておけば、月終わりの集計が楽になる。

 達成度合いは、定期的なミーティングで確認する。達成できなかった目標については議論し、改善のための具体的な行動を話し合う。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kakekomi/201405/536371_2.html