[支え合う 医療・福祉]2大学が医学部構想

2014.05.17

[支え合う 医療・福祉]2大学が医学部構想=宮城
2014.04.17読売新聞


 ◆患者多い仙台周辺で 東北薬科大/地域医療の充実狙う 東北福祉大

 政府が決めた東北地方への医学部新設をめぐり、東北福祉大と東北薬科大の県内2大学が設置構想づくりを進めている。文部科学省は東北の大学から構想を公募し、委員が審査して1校を選ぶ「コンペ方式」を打ち出している。

医学部新設で大きな課題となる付属病院の整備や教員の確保などをどう乗り越えるかが注目される。(飯田祐子)

 文科省は、医学部新設について最短で2015年4月を目指していたが、少なくとも1年間先送りする。

14年5月を想定していた構想の提出期限も1か月ほど延ばす見通しだ。大学側の準備が間に合わないためだ。

 東北福祉大と仙台厚生病院は11年1月、連携して設置を目指す構想を発表した。
13年10月には東北薬科大も新設構想を明らかにした。

 福祉大側の計画では、栗原市内にキャンパスを開設する。
付属病院は、過去の医学部設置基準では、600床以上とされており、栗原中央病院(300床)を譲り受けるなどして用意する。

人口などを基に必要な病床数を定める「2次医療圏」のうち、仙台医療圏(仙台市など)では、病院を増やせないが、大崎・栗原医療圏(大崎市、栗原市など)では150床程度の新設が可能だ。

人口10万人当たりの医師数が約137人で、全国平均(約238人)を大きく下回っており、地域医療の充実も狙う。

 これに対し、薬科大は、旧東北厚生年金病院を取得し、13年4月から付属病院として運営している。

病床数は466床だが、文科省は「被災地の医療事情なども勘案する」姿勢で、「必ずしも600床必要ということではない」(福田寛・医学部設置準備委員長)との見方を示す。

キャンパスは「仙台市か、その周辺」としている。仙台市内なら患者数も多く、病院の運営が安定する利点がある。

 地域の医師不足の解消にどうつなげるかも重要だ。卒業後も東北に定着させる策として、両大とも大学が指定した地域で勤務することを条件に、東北出身者を受け入れる特別枠や奨学金制度を設ける。

県は就学資金を支援するための基金を設ける。
県の担当者は「定員の半分は東北に残るようにしたい」と話す。

 教育方針については、福祉大側は「福祉・看護教育の蓄積を生かし、多様な医療ニーズに応えられる人材の育成」、薬科大は「医薬品の専門知識が豊かな医師を育てること」を掲げる。

 医学部新設で最も難題なのが、教員の確保だ。
日本医師会が「教員の引き抜きで地域の医師不足がさらに深刻化する」と新設に反対するなど懸念は根強い。

福祉大側は「臨床系は主に関東以西から公募する」とし、海外での指導経験がある医師などを招く。
薬科大は東北大に協力を求めながら全国から集める計画だ。

 ◆地域への定着率重要

 医学部の新設が、東北地方の医師不足の解消につながるかどうかについては懸念も多い。

 医学部の数が多い西日本は、人口10万人当たりの医師数も多い傾向がある。
ただ一方で「医学部の数より地域への定着率が問題」という指摘がある。

 文部科学省が2013年に行った調査では、地元出身の学生を優先的に入学させる「地域枠」などを除くと、医学部の卒業生で県内に残る割合は、弘前大26%、秋田大41%、岩手医大44%、福島県立医大49%と半分以下だ。

東北大医学部長の大内憲明教授は「関東出身の学生も多い。
地元に戻りたいのを阻むわけにもいかない」と苦慮する。
このため、卒業後もいかに地域に残ってもらうかが重要になる。

 さらに大学を開学し、学生が卒業して医師になるまでには長い年数がかかる。

将来的には少子化による人口減で医師が過剰になるという予測もあり、医学部新設は慎重に判断すべきとの意見も根強い。

◇2大学の医学部構想
東北福祉大
仙台厚生病院 大学など 東北薬科大
100人 定員 100人
栗原市内 キャンパス 仙台市周辺
大学が保証人となる学資ローン制度で、7年間の東北勤務を義務づけ 卒業生の
地域定着策 大学から無利子の貸し付け。貸与の期間に応じて東北勤務を義務づけ
関東以西から公募 教員確保 東北大をはじめ全国から
▽福祉・看護教育の蓄積を生かす
▽留学生の受け入れ 教育方針 ▽薬学、医薬品の専門知識を持った医師の育成