〔幸せな老後への一歩〕/383 「介護は家族で」を徹底させたいのなら、介護休業制度を強化し給料を上げなさい

2014.05.15

〔幸せな老後への一歩〕/383 「介護は家族で」を徹底させたいのなら、介護休業制度を強化し給料を上げなさい=荻原博子
2014.05.25 サンデー毎日 毎日新聞

 全国労働組合総連合(全労連)が、介護施設で働く人を対象に行ったアンケートの、中間報告が出ました。

 これによると、正規職員の平均賃金は、月額20万7795円。
全産業の労働者給与の平均が29万7700円ですから、全産業平均の7割の給料ということ。

 働いているのが若者ばかりというなら、この給料もわかります。
けれど、アンケート対象者を見ると、10代、20代、30代が2820人なのに対して、40代、50代、60代が3522人と、年配者のほうが約700人も多いのです。

 この給料で、毎日1時間以上の残業をしている人が2割。月10時間以上のサービス残業を強いられている人が2割強いて、休日・休憩・仮眠なども、全く取れていないという人が2割もいます。

 それでも、「やりがいのある仕事だ」と答えている人が7割もいるのには、頭の下がる思いです。

 現在、介護に従事する人は、男性が2割、女性が8割で、介護現場は、低賃金で雇える女性に支えられているのが実情。
ただ、給料の安さや過酷な労働に堪えかねて離職する人が後を絶たず、慢性的な人手不足となっています。

 厚生労働省は、2014年中には140万~160万人の介護職が必要になると予測していたのに、現在、介護労働に従事している人は100万人しかいません。

そのせいなのか、介護の質を上げるために、来年度から実施予定だった介護福祉士実務者研修の受講義務化が、1年延期されました。資格取得のハードルが上がると、ますます人材が集まらないということなのでしょう。

 また、国会では、来年から要介護3以上の人でないと、特別養護老人ホーム(特養)で預からないという地域医療・介護確保法案を審議中。

11年度の特養への新規入所者約14万人のうち、要介護1と要介護2は、約1万6000人。特養に入れない待機老人は、現在約40万人と言われていますが、この狭き門が、さらに狭くなるのですから大変です。

 そうなると、徘徊(はいかい)し始めた老人を抱えている場合、その面倒を家族でみなくてはいけないことになります。
妻が専業主婦なら、介護保険を使って何とか対応できるかもしれないが、独身男性や妻が自分の両親の介護をしているとそうもいかない。
現在、身内の介護のために会社を辞めざるをえない「介護離職者」が、年間10万人もいるそうです。

 状況打開するために、政府は、外国人の技能実習生を増やす検討をしているようですが、外国人を安い給料で使うと、その給料が介護従事者の給料基準になり、給料が上がらないという、さらなる悪循環になる可能性も。

介護が必要な場合には、介護休業制度で、93日までは会社が休める決まりになっています。また、その間は賃金の40%が支給されます。

 けれど、これを利用した人がいる事業所は、11年度で見ると、たった1・4%。言い出せない雰囲気があり、会社も、休暇を与えてまで介護させる余裕はないということでしょう。

 そうなると、会社を辞めざるをえませんが、40歳、50歳でいったん会社を辞めたら、多くは、正社員復帰への道を閉ざされます。

「介護は家族で」という国の方針を徹底させたいなら、外国人を入れることを検討する前に、最低限、介護休業制度を強化し、企業に罰則付きで義務化することと、介護士の給料を上げるくらいはしてほしい!