やまがたニュース・解説 山形大医学部 医学科入試に地域枠 医師の確保と定着狙い

2014.04.21

やまがたニュース・解説 山形大医学部 医学科入試に地域枠 医師の確保と定着狙い
2014.04.13山形新聞


 山形大医学部(山下英俊学部長)は、2015年度の医学科の入試に、県内高校の卒業生らを対象とする「地域枠」を設定する。

同学部はこれまで、国立大としての公平性、透明性などの観点から入試時の「地域枠」に否定的だったが、方針転換した形だ。

 地域枠の人数は、入試の前期日程の募集人員のうち「6人程度」としている。

出願できるのは、県内の高校を卒業、もしくは卒業見込みの生徒。
県外の高校の生徒でも保護者が出願時まで3年以上、県内に住んでいれば対象になる。
卒業後、県内の公的医療機関や同学部の付属病院で一定期間勤務することが求められる。

 具体的な募集要項は6月に発表される予定だが、一般枠と併願でき、出願時に志望動機や県内病院で勤務することを約束する確約書を提出する。

14年度入試の募集人員は125人で、前期日程の一般枠は90人だった。
募集人員が同年と同じであれば、90人のうち6人程度が「地域枠」、それ以外が「一般枠」での入学となる。

 地域枠設定の背景には、医師不足がある。
本県の医療施設で働く医師数(12年)は人口10万人当たり210人と、全国平均の226・5人を下回り、全国都道府県で32位。
東北全体で見ても、地域偏在や診療科偏在が顕在化している。

 同大の嘉山孝正学長特別補佐は「高齢化社会の進展に伴い、地域の中核病院で医療に携わる医師の確保が一層重要になる。県からの強い要望もあった」と地域枠設定の理由を説明する。

 一方で地域枠で地元の生徒が入りやすくなることによる学生の「質」の低下を懸念する声もあり、同学部は一定の学力を確保するために、2次試験に進める「基準点」を設けることも検討している。

 地域医療に携わる医師確保の取り組みは全国の大学で行われている。
文部科学省の調査(12年5月)では、全国の医学部のある国公立・私立大のうち8割を超える68大学が、地域枠や、卒業後に地域医療に従事することを条件とした奨学金を設けている。

 山大医学部も地域枠の設定前から県と連携し、卒業後、県内公立病院などに一定期間勤務すれば返還を免除する「医師修学資金貸与制度」を創設するなど医師確保策を講じてきた。

また、12年から医学部と県内の中核病院は、臨床実習生が県内の中核病院で臨床実習を行う協定を締結。

卒業後の研修先に学生時代の実習病院を選ぶ卒業生も増えており、支援する県は「定着に効果が出てきている」と手応えを感じている。

 文科省調査でも、地域枠や条件付き奨学金を利用した学生の大学所在地への定着率が高いとの結果が出ている。
地域枠以外の卒業生の定着率が48%だったのに対し、地域枠などの卒業生は85%に上った

。実施している大学の9割が、取り組みを「大変有効」「課題はあるが有効」と評価。

「地域医療に熱意がある学生が増加した」「医師不足がクローズアップされる診療科を志望する学生が増加した」「奨学金により、義務年限期間は地域医療定着が期待できる」としている。

 山大医学部は県民代表を入れた「地域医療医師適正配置委員会」を設け、地域の医療の実情を把握し、公平で合理的に医師を配置する取り組みにも力を入れている。

医師不足解消は県民の願い。医学部と県、市町村、各医療機関が連携し、地域枠や奨学金などさまざまな対策を組み合わせることで、医師の確保と定着が進むことを期待したい。