医科大新設、申請へ 郡山の法人、福島から初 全員を奨学生に /福島県

2014.04.16

医科大新設、申請へ 郡山の法人、福島から初 全員を奨学生に /福島県
2014.04.15朝日新聞



 国が目指す東北地方の大学医学部新設をめぐり、郡山市で総合南東北病院などを経営する一般財団法人「脳神経疾患研究所」は14日、文部科学省へ医科大学の新設を申請すると発表した。

東京電力福島第一原発事故に見舞われた福島から名乗りを上げるのは初めて。

被曝(ひばく)医療や最先端のがんの放射線治療に携われる医師を育成すると同時に、医師不足の解消を目指す方針だ。


 法人は病院敷地内で2016年4月の開学を目指す。

約100人の学生のうち、2、3割は東南アジアからの留学生を想定。

全員を奨学生にするなどして学費を援助する見返りに、福島の医師不足解消につなげるために、卒業後も数年間は東北地方の医療機関に勤めることを義務づける。

法人関係者は将来的には年間300億円以上の経済効果が見込めるとしている。

 南東北グループはもともと陽子線や中性子線によるがん治療装置を導入するなど、がんの放射線治療に取り組んでいる。

そこで、学内には国際放射線人体影響研究所を設置。

被曝(ひばく)による新生児や小児への影響を様々な観点から学ぶ機会を学生に与え、災害時に地域を支援できる医大を目指す。

 同法人の渡辺一夫理事長はこの日の記者会見で、「福島における復興の現状は道半ば。医学部新設で使命感をもった医師を育成したい」と述べた。

 背景には県内の医師不足がある。原発事故による県内人口の減少に比例するように、震災後の12年に県内で働く医師は10年より195人減少。

県内での勤務実績を常勤医の人数に換算した数字でみても、12年10月現在で人口10万人あたり122・5人と、東北地方で最少だった。同じ被災地でも宮城と岩手両県が増えているのに対し、福島は減りつつある。

 下村博文文科相は昨年11月、震災復興と医師不足解消のための特例措置として、1校限定で東北に医学部を新設する方針を表明。現在はいずれも仙台市にある東北福祉大と東北薬科大が名乗りを上げている。

文科省は当初15年春の開学を目指していたが、大学側の準備が間に合わないとして少なくとも1年間先送りする方針だ。


 ■仙台の2大学は「ライバル」注視

 大学医学部の新設をめざす新たな「ライバル」の動きを、すでに名乗りを上げている仙台市の2大学は注視する。東北福祉大の広報担当者は「目的は良い医学部をつくること。お互い切磋琢磨(せっさたくま)して良いものをめざせばいい」とコメント。東北薬科大の担当者は「地域医療により貢献できる医学部設置をめざし、努力を重ねていきたい」と話した。

 宮城県の村井嘉浩知事は会見で「福島のものより良くなるよう、県として二つの大学を応援し、市町村をサポートしたい」と述べた。


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郡山に医学部新設 名乗り 脳神経疾患研究所 総合南東北病院敷地に=福島
2014.04.15 読売新聞



 復興支援策として国が東北地方に一つだけ医学部の新設を認める方針を決めたことを受け、脳神経疾患研究所(郡山市、渡辺一夫理事長)は14日、医大の新設を6月までに申請すると発表した。

医学部新設の名乗りは県内で初めて。同研究所が郡山市八山田で運営する総合南東北病院の敷地をキャンパスとし、2016年4月の開学を目指す。

 同研究所によると、新しく学校法人を作り、医学部のみの単科大としてスタートする。

地域医療に役立てるよう臨床に重点を置き、原発事故を含む災害に対応する態勢を作る。
教員は首都圏や海外などから、学部設置に必要とされる約150人を確保。
教授は公募のほか、同研究所グループの医師約400人から15人程度の採用を見込む。

 学生は1学年100人を受け入れ日本語と英語で教育する。卒業後の一定期間、東北地方での勤務を条件に入学者全員を奨学生などとして経済的に支援する。

そのために基金を募り、寄付に応じて地域の病院などに医師を送ることを目指す。

 震災前の2010年と震災後の12年で比べると、県内の医師は195人減り、岩手(27人増)、宮城(123人増)よりも厳しい状況にある。

渡辺理事長は「地域と密着した医学部の設置により、若年層を中心とした人口流出や医療従事者の減少に歯止めをかけたい」と話している。

 新設を巡っては、すでに宮城県内の2校が名乗りを上げている。新設が決まれば1979年の琉球大医学部以来となる。