[ぎふ発]岐阜大医学部 「地域枠」初の卒業生 若手確保 歩み着実=岐阜

2014.04.12

[ぎふ発]岐阜大医学部 「地域枠」初の卒業生 若手確保 歩み着実=岐阜
2014.04.11読売新聞


 医師不足解消を目指し、岐阜県が一定期間の県内勤務を条件に、県出身者を優先的に入学させ奨学金を貸し付ける「地域枠」を岐阜大学医学部に設けてから6年。

第1期の卒業生10人が、今春岐阜県内の医療機関に派遣され研修医として第一歩を踏み出した。

医師不足の解消に向け期待が高まる一方、依然として人口10万人あたりの医師数は全国平均を下回るなど課題は残る。試行錯誤を続ける医療行政を探った。(黒木健太朗)

 ◆医師不足解消を

 岐阜県と県医師会、県病院協会が岐阜市内のホテルで3日夜開いた「県新研修医合同オリエンテーション」。

県内病院で研修を受ける2年目までの研修医約110人が集まり交流を深めた。

この春地域枠を卒業し研修医となった山田奈津実さん(24)は「救急の研修に力を入れている病院を研修先に選んだ。
生まれ育った地元に貢献したい」と意気込んだ。

 厚生労働省の調査では、2012年に県内の病院や診療所で勤務した医師数は4028人で、10年前の3413人から約600人増えた。

それでも、人口10万人あたりの医師数は195・4人と全国平均を約30人下回る。

脳外科医出身の県健康福祉部の久保田芳則次長は、「医師は研修を受けた都道府県内で働き続ける傾向が強い。まずは新人研修医の数を県内で確保することが第一」と強調する。

 ◆育成 モットーに

 県内の若手医師確保に向けた動きは着実に前進している。
岐阜大付属病院や県内で研修医が多く集まる8病院が「県医師育成・確保コンソーシアム」を創設し、研修医の育成を支援。
地域枠の卒業生らを対象に、医師不足地域での勤務を含む研修プランを作成したり、研修病院へ指導医を派遣したりするなどしている。

 地域枠からは25年度までに最大275人の研修医が県内の病院に供給される見込み。

さらに、県は今年度から東京や大阪で開かれる全国規模の採用説明会に初めて参加し、県外の医学部生の取り込みも目指すという。
コンソーシアムの設立に尽力した岐阜大医学部付属地域医療医学センター長の村上啓雄教授は「計画通り県内に定着してもらえるよう、育成をモットーに医師の確保に努めたい」と話す。

 ◆診療科で偏り

 一方、人口10万人あたりの医師数は、岐阜市を含む医療圏を除く四つの医療圏(西濃、中濃、東濃、飛騨)で全国平均以下で、小児科医や産婦人科医の慢性的な不足も解消されていない。

地域枠の導入で今後、医師不足地域への改善に期待がかかり、村上教授は「医師不足の情報を適切に大学や学生、研修医に伝えることで、地域医療が抱える問題に目を向けてもらえれば」と話す。

一方、診療科の医師偏在について県関係者は「待遇改善など国が主導しないと解消は難しい」と指摘している。



 〈地域枠〉

 地域医療への貢献を前提に設けられる入学枠で、全国の大学で導入が進む。
岐阜大医学部では、医師免許取得後の初期臨床研修2年とその後専門性を学ぶ後期臨床研修9年の計11年間、県内で勤務することを条件に、入学金や授業料を貸し付ける。

条件通り勤務した場合、返済は免除される。08年度に10人、09年度に15人、その後は毎年度25人が入学している。