東金の新病院は財政運営が争点 2市長選控え、山武地域の救急医療 

2014.04.11

東金の新病院は財政運営が争点 2市長選控え、山武地域の救急医療 /千葉県
2014.04.10朝日新聞



 救急医療が立ち遅れていた県東部の山武地域に1日、東千葉メディカルセンター(東金市)が開院した。

9自治体で設立する構想が二転三転、同市と九十九里町の1市1町が運営を支える。

財政厳しい折にセンターをどこまで充実させるのか。13日に告示される東金市長選と山武市長選の大きな争点となっている。


 東金市丘山台の東千葉メディカルセンターで2日、開院式典が盛大に行われた。志賀直温市長(65)は「救命救急センターがない地域を改善したいという一念で開院にこぎつけた」と県や近隣自治体、医療関係者を前に、感動の面持ちで語った。

山武長生夷隅医療圏で初の重篤患者を受け入れる3次救急医療機関。

同市と九十九里町が設立した地方独立行政法人・東金九十九里地域医療センターが運営を担う。

 ただ、フル体制で始まったのは20床の救命救急センターのみ。

それ以外は16診療科126床(一般)で始め、3カ年で23診療科、294床を目指すという。

 センターが抱える最大の課題は救急医療部門の赤字だ。2014~17年度の収支計画によると、病院全体の単年度収支は3年間は赤字が続いた後、4年目に2千万円の純利益を確保して黒字に転換する。

だが、一般医療を除く救急医療は、4年目でも約5千万円の赤字の見通しだ。

 同市と九十九里町は、同じ医療圏の15市町村に負担金の拠出を求めたが、どこも財政に余裕がなく、負担には慎重な姿勢だ。

 フルオープンを進めるか、財政基盤に応じた運営体制を考え直すか。市長選に立候補を表明している3氏は意見が分かれている。

 5選目を目指す志賀市長は「救命救急センターの患者受け入れ状況を参考に、各自治体と相談したい」と目標実現にこだわる。

 一方、いずれも無所属で立候補を予定する鹿間陸郎氏(63)と結城武光氏(59)は、仕切り直しを提言する。

 鹿間氏は「3次救急は市町村で担えるものではない。もう一度、市町村が持つべきなのか県と協議したい」という。

負担金については「センター建設は市と九十九里町が独断的に進めてきた。
近隣市町村に謝罪し、協議を始めるようお願いする」と語る。

 結城氏は「赤字は必至で、東金市と九十九里町の地方独立行政法人では支えられない」と明言。
財政基盤を改善するため、医療施設を核とし、1市1町と隣接の大網白里市の合併を提案する。

紹介状なしでも受診を可能にするなど運用の改善も指摘している。(高木和男)


 ■さんむ医療センター、東金との連携で対立

 東千葉メディカルセンターは、隣接する山武市にも影響を与えている。同市が単独で運営する「さんむ医療センター」を地域医療の核に強化するのか、メディカルセンターと連携を図るのか。一大争点に浮上してきた。

 さんむ医療センターは、2010年4月、組合立国保成東病院の解散に伴い、市が地方独立行政法人化して発足させた。

 一般病床350床、入院治療が必要な2次救急に対応する。

 そんな中、約15キロ離れた地に完成したメディカルセンター。設立構想から脱退した経緯がある市は、運営には参加せず、3次救急を利用するための負担金にも応じていない。

 3期目を目指す椎名千収市長(68)は「さんむ医療センターは黒字経営だ。
自分たちが住むまちの病院をしっかり守ることが大切だ」という。
合意形成がないまま建設されたメディカルセンターへの拠出には否定的だ。
今後、老朽化した医療センターを建て替えて2次救急機能を拡充する考えだ。

 これに対し、元市議で立候補を表明する小川一馬氏(59)は「移転、建て替えは全く身の丈にあっていない」と憤る。新たに建てた場合、100億円以上の負担がかかるとみる。「3次救急医療はどうするのか。メディカルセンターへの参画は自明の理だ」(石平道典)