広域医療連携 /横須賀の事案を奇貨に

2014.04.09

/広域医療連携 /横須賀の事案を奇貨に/<面名=総合>
2014.04.07 神奈川新聞 社説


 横須賀市からの小児科医派遣要請を断った横浜市大が、横須賀共済病院(同市米が浜通)には派遣することが波紋を広げている。

 市立市民病院(同市長坂)は小児科医を確保できず、4月から小児科の入院を休止。
一方の横須賀共済は横浜市大からの派遣を確保でき、1年ぶりに三浦半島の周産期救急医療の基幹病院として再稼働した。

 吉田雄人市長ら市幹部は休止について、「残念」との認識を示す。
市議会では入院再開を求める決議案が賛成多数で可決された。

議会側からは、市民病院が選ばれなかった理由の検証を求める声や、他の大学病院に派遣を依頼すべきだといった意見が出ている。
市には、徹底的な検証とともに指定管理者のあり方を含め、抜本的な見直しを求めたい。

 横須賀市には市民病院、うわまち病院(同市上町)という二つの市立病院があり、いずれも自治医科大が母体の公益社団法人「地域医療振興協会」が指定管理者を務める。

 今回の休止は、両病院の小児科で入院を継続した場合、医師が離職する懸念があると協会側が訴えてきたことが契機という。
だが同じ指定管理者に二つの市立病院の運営を任せていることに、全く問題はないのだろうか。

 市によると、市民病院では医師による分べんの休止に伴い技量向上の機会が失われている点などが離職の懸念される理由だというが、その休止は協会が指定管理者になって以降の出来事である。

 市議会からも「別々の管理者なら市民病院の中でどうにかしようと動いたと思う。地域のために、もう少し努力したのではないか」との疑問が上がっている。

 市民病院利用者の3割は三浦、逗子市や葉山町の住民だ。
逗子の西隣には、深刻な産科施設の不足を受け、2009年に市医師会立の形態で産科診療所を開設した鎌倉市がある。

横須賀の市民病院は、市内にとどまらず、相模湾沿岸に潜在する需要を取り込む機会を逸してきたのではないだろうか。

 折しも、今国会には従来より簡単な手続きで市町村の共同事業を可能にする地方自治法改正案が提出されている。
人口減により単独では住民サービスの維持が難しい自治体に広域連携を促すものである。今回の問題を奇貨として、三浦半島で医療の広域連携に取り組むべきだ。