診療報酬改定で急性期病院の救急縮小が心配

2014.03.31

診療報酬改定で急性期病院の救急縮小が心配


2014/3/26 日経メディカル
 
 二次救急医療機関にとっては、「救急医療管理加算」の算定要件厳格化もマイナス要因。

改定前は、対象となる患者として「吐血、喀血または重篤な脱水で全身状態不良の状態」「緊急手術を必要とする状態」などの9つの状態に加え、「その他準ずるような重篤な状態」が規定されていました。

しかし今回の改定では、「その他」については「救急医療管理加算2」として800点から400点に減算され、患者の状態について年に1度、報告することも義務づけられました。



医療需要のピークを前にベッドを減らして大丈夫?
 
さらに今回の改定では、看護配置7対1一般病棟でも重症度の基準が厳格化され、評価項目から喀痰吸引や血圧測定が省かれました。

基準を満たす患者を15%以上受け入れることが求められており、「重症患者が多くない病院では7対1看護基準までは必要ないから、もっと低い看護基準にしなさい」というメッセージと受け取れます。

 他にも7対1一般病棟については、「在宅復帰率75%以上」という要件が設定されました。

例えば、独居で寝たきりの方の緊急入院を多く受け入れていると、在宅復帰させることが難しく、要件を満たせなくなることも考えられます。


「急性期を続けるのならしっかり重症患者を診て、在宅復帰を目指しなさい」というメッセージは分かるのですが、密度の高い医療を行う急性期病床を減らす病院が増えると、地域医療の現場が「混乱」する可能性があります。

病院のスタッフにとっても、在院日数の短縮が進み、さらに在宅復帰を求められるとなると、退院支援のための業務負荷が一層重くなることが予想されます。

 国は医療計画の5疾患5事業に救急医療を含めて、供給体制の拡充を図ってきましたが、今改定を見ていると救急医療機関を選別するフェーズに入ったことを感じます。

 既に団塊の世代は65歳以上になり、これから大都市部を中心にますます脳卒中、心筋梗塞を含め救急医療のニーズが増えるため、受け入れ先となる救急医療機関の果たす役割は大切です。

各病院のICUの入室基準について見直しの余地はあったのかもしれませんが、医療需要のピークを前に急性期病床を全体的に減らすことが正しいのか、今後の推移を注意深く見ていく必要があると思います。

 なお、日本集中治療医学会は今年1月、集中治療の客観的評価、参加施設の治療成績向上、適正なリソース配分などを目的に「ICU入室患者登録システム(JIPAD)」を始動させ、集中治療についてデータ収集を開始しました。

目的の中には「適正な診療報酬への提言」も含まれています。救急医療の充実のためには、地域の救急病院がしっかりデータ収集・解析を行い、それを基に政策提言していくことも必要ではないかと考えます。