(記者有論)在宅医療 支援診療所、要件緩和を 佐藤陽

2014.03.26

(記者有論)在宅医療 支援診療所、要件緩和を 佐藤陽
2014年3月26日 朝日新聞
 

2025年に首都圏の75歳以上の人口は、10年に比べ2倍近くに増える。

この「2025年問題」に備えるため、厚生労働省は病院でなく、住み慣れた自宅での医療・介護体制を充実させようとしている。

だが神奈川版の連載「迫る2025ショック」の取材を通じて課題が見えてきた。

 厚労省は在宅医療を担う医師を増やそうと、06年に「在宅療養支援診療所」制度をつくり、医療の公定価格である診療報酬で優遇してきた。

 ただ、支援診療所には「24時間の往診体制の確保」などの要件が課せられた。
休日や夜中でも求めがあれば、往診に行かなければならない。医師は酒も飲めないし、学会や結婚式にもなかなか行けなくなってしまう。

 横浜内科学会所属の診療所や病院を対象にしたアンケートで、支援診療所を届け出ない理由を尋ねたところ、「24時間の往診が難しい」という回答が最も多かった。

 私は横須賀市のベテラン在宅医の訪問診療に何度も同行したが、激務だった。外来診察をこなしながら、週3回の午後、患者の家を訪れる。
夜の会議に出席中、容体が悪化した人のもとに駆けつけるため、中座したこともあった。

 こうした現状を踏まえて、厚労省は12年から複数の診療所がグループを組んで在宅医療をする場合なども、診療報酬で評価するように切り替えた。

それでも全国の支援診療所の届け出数は、12年現在で約1万3800。06年の約9400から思ったように増えていない。

 人口約370万人の横浜市で在宅医療の患者数は、25年に12年の倍になる見込みだ。
しかし、約2900の診療所のうち、支援診療所を届け出ているのは1割に過ぎない。

 そんな中、市は西区で医師会と協力して医師同士がカバーし合える仕組みをつくった。
これで新たに開業医4人が往診をするようになり、西区の在宅医は26人に増えた。

 医師間の連携を進めると同時に、支援診療所の要件を緩和することが必要だろう。

 「24時間往診」の診療所とは別に、「日中なら往診に応じる」という支援診療所を新たに設け、診療報酬で優遇してはどうだろうか。
その場合、夜間や休日は訪問看護ステーションや救急で対応してもらう。

 25年には年に1~2件でも患者の自宅で看取(みと)る医師を増やさないと立ちゆかない。
そのためには、在宅医療に加わりやすくすることが必要だ。

 (さとうよう 横浜総局)