特養入居待ち52万人 4年で10万人増 厚労省集計

2014.03.26

特養入居待ち52万人 4年で10万人増 厚労省集計
2014年3月26日 朝日新聞



 
特別養護老人ホーム(特養)への「入居待ち」の高齢者が、昨年秋時点で約52万2千人にのぼることが25日、厚生労働省の集計でわかった。

4年前の前回調査より約10万人増えた。
待機者のうち、入居の必要性が高い「在宅で要介護3以上」は約15万2千人いた。
高齢化で介護が必要な人が増え、受け皿不足はさらに広がっている。

 特養は全国に約8千カ所あり、約51万人が暮らす。

入居待ちの約52万人のうち、介護が必要な度合いが中重度の「要介護3~5」は約34万人。
このうち特養以外の施設や病院にいる人が約19万人いる一方で、家族らの支えで在宅で暮らす人も約15万人いた。

 厚労省は特養不足への対策として、来年4月以降は新たに入居できる人を原則「要介護3~5」に絞り込む方針だ。

今回調査では、「要介護2以下」の人も約18万人おり、全体の34%を占めた。
今国会に提出した関連の法改正案が成立すると、これらの人の大半は特養に入れなくなる。

 また、都道府県別で入居待ちが最多だったのは東京都の約4万3千人。上位は大都市圏が目立つ。

 今回の調査では、昨年10月1日時点で入居を希望しながら入れない人数を集計した。
ただし、1人で複数の施設に申し込んだ重複分を除いていない▽要介護3以上や在宅の人だけを集計している、といった理由で実態をつかみ切れていない府県も含まれる。

 ■進む高齢化、受け皿ピンチ

 入居待ちが増え続ける背景には、高齢化のペースに整備が追いついていない実情がある。
行政は財政難や土地不足を理由に、特養を大幅に増やすことには慎重だ。
代わりの受け皿づくりが大きな課題となる。

 特養は、常に介護が必要で在宅で暮らすのが難しい人向けの施設。そこで最期を迎える人も多く、「終(つい)のすみか」と呼ばれる。
厚生労働省が入居待ちの状況を前回調べた2009年から今回の13年までの4年間に、定員は約7万5千人増えたものの、入居待ちは約10万人膨らんだ。

 特養不足の大きな理由は、国や地方自治体の財政の厳しさだ。特養の事業者や利用者の負担を抑えるため、行政は整備費を補助している。
特養は介護サービスの中ではコストが高く、多くの自治体にとって財政の重荷だ。大都市では用地を確保しにくいことも新設のハードルとなる。

 厚労省は「特養のニーズを考えると、今の定員数は十分ではない」と認めるが、受け皿整備の重点を特養以外に移す姿勢だ。

具体的には在宅医療や、介護職員が高齢者を24時間定期的に訪問するサービス、住人が見守りなどを受けられる「サービス付き高齢者向け住宅」などが柱となる。
医療・介護一体で「施設から在宅へ」の流れを進める。

 ただ、状況はこれからさらに厳しくなる。

「団塊の世代」が75歳に達する2025年ごろには介護が必要な人が急増する。
受け皿を十分につくれなければ、大都市などで必要な介護サービスを受けられない人が大量に生まれかねない。

 介護の問題に詳しい鏡諭・淑徳大教授は「特養を希望する人が多いのは、サービスを24時間、無期限で比較的安く受けられるから。
ショートステイを申し込んだらすぐ使えるようにするなど、在宅サービスの安心感を高めないと、特養に申し込みが殺到する状況は変わらないだろう」と指摘する。(有近隆史、編集委員・友野賀世)