田川市議会委:一般会計予算案を否決 市立病院の寄付を問題視 /福岡

2014.03.17

田川市議会委:一般会計予算案を否決 市立病院の寄付を問題視 /福岡
2014.03.15 毎日新聞



 田川市議会総務文教委員会が14日あり、市立病院への経営安定補助金9億6600万円などを計上した新年度一般会計当初予算案を否決した。

市立病院は新年度の病院事業会計当初予算案に大学医学部などへの寄付金1500万円を計上し、市議会厚生委員会はこれを可決していた。

一般会計の否決は、寄付を問題視した総文委が寄付の原資にもなる補助金に待ったをかけた形となった。【荒木俊雄】

 市立病院は、田川地区ががんなどの死亡率が高いため、これらを改善する「田川5疾病克服運動」を2010年に始め、関連研究を行う大学医学部などへの寄付を目的とした「地域医療研究費」を創設。

財団法人臨床研究奨励基金(福岡市)を通じ、13年度までの3年間で計約3900万円を寄付していたことが毎日新聞の取材でわかっていた。

 だが、11日の厚生委は寄付の費用対効果を問わぬまま、病院事業会計の当初予算案を可決。

一方、総文委は10日に続き14日も「公金のチェックがずさん」などの批判が出るなどし、一般会計の新年度予算を否決した。20日の本会議での採決が注目される。

………………………………………………………………………………………………………

 ■解説

 ◇精査のない寄付はやめよ

 「医師確保のためなんてひと言も言ってないし、資料にも書いてない。

(1回目の取材の)録音テープを聞き直して」。2回目の取材をした2月12日、寄付を発案した市立病院の斉藤貴生・病院事業管理者は、寄付の目的を再確認した記者にこう気色ばんだ。だが、唯一打診されたという伊藤信勝市長は市議会などで「医師確保のためと聞いた」と説明。

斉藤管理者はこの後、寄付で医師が増えたかのような資料を市議会で配るなど、言動には揺らぎが見える。

 今回の問題は
(1)効果を立証できないことに公金が投入された(2)77億円以上の累積赤字を抱え、市から年10億   円近い補助を受ける赤字病院が寄付をした
(3)担当課の精査を経ず、トップ間だけで高額支出を決めた――ことだ。

 寄付は本来、対価を期待しないもの。
実際、財団も「寄付の送付先は送り主がどこかわからず、寄贈元に便宜を図るとは考えにくい」と話す。

一方、厚生委で複数の議員が「記事は誤解を招く」と病院側を擁護したが、別の議員が寄付の必要性を問うと、斉藤管理者は「必要ということはないが、気持ちを伝えたかった」と語り「それは個人的感情」と失笑される場面があった。

 市財政課は「寄付には明確な理由が不可欠」とし、糸田や川崎の町立病院は寄付をしていない。医療環境の改善は重要だが、仮に医師確保が目的としても、寄付で何人の医師が来たかの分析もないまま血税を投入することは許されない。寄付はもうやめるべきだ。【荒木俊雄】