かかりつけ医を定着させよう

2014.03.17

かかりつけ医を定着させよう
2014/3/16付  日本経済新聞 社説
 

患者が病院や診療所で受ける医療行為の公定価格である診療報酬が4月から変わる。

厚生労働省が原則2年に一度見直しているが、今回の見直しで注目すべき点がある。
かかりつけ医(主治医)が定着するかどうかだ。

 人口の高齢化が進み、病気にもなりやすい高齢者が今後ますます増える。
これらの人の医療をすべて大病院への入院などで対応していたのでは、施設が足りないだけでなく、膨大な医療費もかかりかねない。
そこで大病院頼りをできる限り減らし、自宅など住み慣れた場所で療養してもらう体制をつくることが必要になる。

 その体制の要が、かかりつけ医だ。
患者に身近な診療所や中小病院の医師がときには患者宅を訪問もしながら、患者の健康を管理し、本当に必要なときだけ入院を指示する役割が求められる。

 4月から診療報酬の中に「地域包括診療料」などの名称でそのような役割を果たす医師への報酬が新たに設けられる。
経済的に優遇して、かかりつけ医を増やすのが狙い。

ただ、24時間対応してくれる薬局と連携しなければならないなど、この報酬を得るための条件は厳しく、すぐには増えない可能性もある。

 かかりつけ医が機能すれば、あちこちの医療機関にかかって同じような薬をもらったり、検査を受けたりする無駄を減らすことも期待される。

ぜひ増やしていきたい。
4月以降、医療現場の状況を見ながら定着に向けた柔軟な制度見直しも進めるべきだろう。

 かかりつけ医には、どんな病気でも一通り診療できる総合的な能力や、専門医や大病院を的確に紹介できる人脈なども求められる。

現状では、そんな医師が身近にいないとの国民の不安も根強い。医師教育課程の改革や、研修制度によって信頼に足る医師を早く多く育ててほしい。

 国民医療費はすでに年40兆円ほどに達する。さらなる高齢化を前に、医療の効率化に必要な対策は避けて通れない。