関連報酬を大幅値下げ 来月から 施設訪問診療「荒稼ぎ」防止

2014.03.14

関連報酬を大幅値下げ 来月から 施設訪問診療「荒稼ぎ」防止
2014年3月14日 朝日新聞
 

外出が難しい患者のもとに医師が出向く訪問診療のうち、高齢者施設などで複数の患者を一度に診るケースについて、厚生労働省は4月から、関連の診療報酬を最大4分の1程度まで値下げする。

業者からまとめて患者の紹介を受けて「荒稼ぎ」する例が目立つため対策をとる。
必要性が乏しい診療を防ぐねらいだ。

 訪問診療では、寝たきりなどの患者が住む家や老人ホームなどに医師が定期的に出向く。

病院や診療所での診療より時間やコストがかかりやすいため、診療報酬が高めに設定されている。

不必要な入院を減らし、在宅医療を普及させるため、厚労省はさまざまな優遇策を進めてきた。

 だが、同じ施設でまとめて患者を診察して高い報酬を得る医師が現れた。
昨年には、医師が業者に代金を払って患者を紹介してもらう「患者紹介ビジネス」の実態が、朝日新聞の報道で判明。
施設の入居者の9割に訪問診療が行われた事例も厚労省に報告された。

 厚労省は「患者に不必要な医療を押しつけるおそれがあり、不適切」と判断。
患者紹介料の支払いを禁止する方針を昨年秋に打ち出した。2月には診療報酬見直しの具体策もまとめた。

 基本料金に当たる「訪問診療料」について、同じ施設で1日に2人以上診察した場合は、1人あたりの料金を今の4千円から2030円に下げ、ほぼ半額にする。

架空の訪問などを防ぐため、診察の場所や時間、人数の記録と、患者の同意を算定要件に加える。

 訪問診療の「うまみ」となっていた「在宅時医学総合管理料」は、同じ施設で1日に2人以上を診る場合、4分の1程度まで減額する。

これは治療計画に沿って患者を月2回以上訪問すると加算される料金だ。
24時間対応の診療所だと、今は月4万2千円と高額だが、月1万円に下げる。

 こうした大幅な減額に対し、在宅医療に取り組む医師からは「地道な訪問診療に悪影響が出ないよう、配慮してほしい」との声も出ている。
厚労省は、同じ場所で一度に複数の訪問診療をする相手が夫婦の場合などは過剰診療につながりにくいとして、報酬引き下げの対象としない方針だ。

 (高橋健次郎)

 ■訪問診療をめぐる問題事例と防止策

<類型>まとめて診療

<主な事例>入居者の9割に訪問診療。月2回の訪問診療を入居条件にした施設も

<4月からの対策>診療報酬を最大で4分の1程度に引き下げ

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<類型>患者紹介ビジネス

<主な事例>業者が医師に高齢者施設の入居者を紹介。医師は手数料を支払う

<4月からの対策>患者紹介料のやりとりを禁止

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<類型>訪問を偽装

<主な事例>業者が鍼灸(しんきゅう)院に集めた患者を医師が診察し、訪問診療の報酬を請求

<4月からの対策>診療の場所や人数などの記録を、報酬請求の手続き時に提出させる

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<類型>認知症に過剰診療

<主な事例>診療所の医師が隣の施設で暮らす認知症高齢者を連日訪問。家族の了解はなかった

<4月からの対策>訪問診療について患者側の同意を取らせる