ジェネリック医薬品選んでる?

2014.03.10

(be between)ジェネリック医薬品選んでる?
2014年3月8日 朝日新聞


 先発医薬品の特許が切れた後、同じ有効成分を用いて開発・発売されるジェネリック(後発品)。
今回、「どちらかといえば」を含め半数以上が「Yes」と答えたが、情報不足や不安を訴える「But」の声も相次いだ。

 ■1剤ずつ、慎重に

 「先進諸国と比べ、日本は普及率が低いのですが、CMなどの効果もあり、だいぶ浸透してきましたね」と話すのは、先月『なぜ、あなたの薬は効かないのか?』を出版した薬剤師で医療系コンサルタントの深井良祐さん。

 厚生労働省の調べでは、全医薬品のうち後発品のシェアは27・6%(昨年9月)。
後発品が存在する医薬品に限ってもシェアは約4割で、アメリカ約9割、ドイツ約8割、イギリス約7割と比べると低い。

 「基本的に薬が保険でカバーされる日本と違い、諸外国では全額自己負担の場合も多く、薬価に敏感。
アメリカでは後発品が発売されると、先発品は半年で8割のシェアを失うと言われています」

 今回の調査でも、最も多くが「価格が安い」を後発品の選択理由に挙げた。
「多くの病気で薬代が大変なので助かる」(茨城、65歳男性)、「わずかでも、医療費削減になるなら」(神奈川、67歳男性)など、自己負担軽減と国民医療費削減の「一石二鳥」効果も知られているようだ。

 が、なお不安が残るとの声も多く、効き目が違うとの体験談も少なくない。
「後発の湿布薬は剝がれやすい」(愛知、82歳男性)という使用感の違いから、「薬疹が出た」(神奈川、56歳男性)「下痢などで入院、服用を中止した」(埼玉、67歳男性)という重篤なものまで。

 「先発品と有効成分は同じでも、溶ける速度を調節するコーティングといった製剤方法、含まれる添加物などは異なるので、注意が必要です。
両者は『全く同じ』ではなく、『統計学的には差がない』のです」と、深井さんは警鐘を鳴らす。人によって効き目に差が出るほか、切り替えが難しい薬もある。

 「逆に後発品の方が体に合う場合もある。
『似ているが、少し異なる薬』と考え、切り替える際はリスクを最小限に抑えるため、1剤ずつ慎重に」と、助言する。

 一方、「使っていない」理由で最も多かったのは「医師や薬剤師が薦めていない」。

「医者から希望を聞かれたことがない」(埼玉、51歳女性)、
「患者からは伝えにくい」(千葉、72歳女性)という人が多く、
「医師の処方を勝手に変えることで、(医師との)関係悪化を懸念」(千葉、79歳男性)したり、
「ビンボー臭いと思われるような気が」(神奈川、47歳男性)したり。
「担当医に『私は薦めない』と言われた」(埼玉、56歳男性)、
「希望したが投薬してもらえない」(三重、72歳女性)など、明確に否定されたとのケースもあった。

 実際に処方する側の声として、兵庫県の調剤薬局勤務の男性(66)は、「以前は粗悪品もあり、浸透しなかった。いま推奨するなら、もっと有効性、安全性の担保が必要」という。京都府の薬剤師の女性(54)は「医療費の抑制は大切だが、根本的に医療制度を考え直すべき」と話す。かつて先発医薬品メーカーで研究開発していたという東京都の男性(49)は、「課題もあるが、恩恵を受けることも確か。評価が定まっている一般的な薬のみ後発品を頼む」と使い分けていた。

 深井さんはいう。「利点と難点をきちんと説明して比べてもらい、健康面でも経済面でも豊かになる人を増やすことが後発品の目標ではないでしょうか」(柏木友紀)

 ■厚労省は…

 【厚生労働省医政局経済課の近藤秀昭・後発医薬品使用促進専門官の話】 どんな薬も人によって合う合わないはあり、体調や気持ちの面も大きく、後発品が悪いわけではない。
個人負担が減り、浮いた財源を新薬開発に回すなどメリットは大きい。昨年8月には後発品シェアを6割に上げて、1兆円の医療費削減を生み出す試算も発表した。国民皆保険を維持するためにも効率化は不可欠。

 02年度から後発品処方の際は調剤報酬に加点する推進策が始まった。処方薬の説明書に後発品の存在を明記しているほか、学会や製薬業界のホームページ、スマホのアプリでも後発品の有無が調べられる。医療関係者、患者双方の意識をさらに高めていきたい。