私が見た診療所看板の「失敗例」

2014.02.27

私が見た診療所看板の「失敗例」


2014/2/25 日経メディカル
 
新規開業したものの患者が集まらず、苦戦する診療所が増えているという。
そのせいか、最近あちこちに診療所の看板が掲出されるようになった。
実は、道路際の野立て看板や駅看板には、「一度出したらやめにくい」という落とし穴があるが、そのことを知らない人は案外多い。

看板をやめられないわけ
 これらの看板を撤去するには相当の勇気が要る。

「診療所がつぶれてしまったと思われるのでは」という心理が働くのだ。
実際、そんなふうに勘繰られるのが怖くて撤去できないと、ぼやく院長の妻は少なくない。

 広告代理店から見れば、契約さえ結んでしまえば、長期間にわたり安定的な収入が見込める。
代理店が積極的にアプローチしてくるのは、それだけうま味があるからだ。
初年度はリーズナブルな価格でも、更新時に大きく値上げしてくることもある。「やめるにやめられない」心理につけ込んでいるとしか思えない。

 そもそも野立て看板の中には、「こんな出し方をして効果があるの?」とツッコみたくなるような事例が多い。
よく見かけるのは、年月がたち色あせてしまった看板。そんな広告を見ると、「院長の熱意も色あせてしまったのでは」と感じるのは同業者だからだろうか。

 また、人も車もあまり通らない田舎道に、医院名だけ書かれた看板が立っていることもある。
「ここに看板があることを、院長は把握しているのだろうか」と思ってしまう。
そうした診療所では、あちこちの田舎道に似たような看板を立てているが、院長がその道を通ることは月に1回もないだろう。

 一方、車の往来が多い場所に立てられた野立て看板の中にも、効果が怪しいと感じられるものが少なくない。

 信号待ちが多い交差点やショッピングセンターの出入り口付近であれば、一時停止の際に目につきやすいが、走行中の車からしか見えない看板を出すことにどれだけの意味があるのか。しかも、車の進行方向と平行に立っていて、首を横にひねらないと見えないものもある。

目立たせすぎるのも考え物
 駅看板も、効果が乏しそうなものをよく見かける。
例えば、電車の先頭車両近くでホームを歩く人が少なかったり、駅から離れた線路際に掲げられているようなケースだ。

 自院のテーマカラーにこだわって駅看板を製作したら、隣に並んだ他院の看板と同じ色になってしまったという例もある。自院の看板がどのような形で設置されるのか、事前にチェックすることが欠かせないだろう。

 もっとも、広告の効果を高めようとして目立たせすぎるのも考え物だ。ライバルの診療所や病院の目の前に看板を立てる人もいるが、過剰な「闘志」を感じてしまい、同業者としてあまりお近づきにはなりたくない。