14記者リポート:加賀市の新病院計画 採算や立地、市民にも賛否 検証委答申で見直しも

2014.02.18

14記者リポート:加賀市の新病院計画 採算や立地、市民にも賛否 検証委答申で見直しも /石川
2014.02.17 毎日新聞



 加賀市が加賀市民病院、山中温泉医療センターの市立2病院を統合し、2016年4月の開業を目指す新病院建設計画に遅れが生じている。

市の第三者機関である検証委員会(委員長=北川正恭・元三重県知事)が来月中にも採算性などの見直しを答申し、計画の再考を求められる可能性があるためだ。

地域医療をどう再生し、財政負担を減らしていくのか。市民の賛否も分かれる難しい課題が突きつけられている。【中津川甫】

 ◆合併契機に浮上

 新病院建設が浮上したきっかけは、05年10月の旧加賀市と旧山中町の合併だ。

合併協定書に設置が盛り込まれた医療専門家や市民代表らでつくる「地域医療審議会」は07年、早急な治療が必要な急性期の患者を受け入れる「2次救急医療」の充実を求め、「新病院建設以外に根本的な問題解決の方法はない」との結論を出した。

 09年になると、救急搬送された患者のうち3人に1人は、急性期医療が整った小松市や福井県など市外へ運ばれるようになった。

このため審議会は、受け入れを分担してきた中核病院の加賀市民病院と山中温泉医療センターを統合し、医師ら職員と医療設備を集約して対応を強化するよう市に求めた。

 ◆病床減への不満

 新病院は寺前秀一・前市長時代に立案と住民説明会、設計・建設事業者の選定まで進んだ。

総事業費約102億円、市中央部のJR加賀温泉駅南側で全室個室など充実した医療設備を整える計画。

だが2病院で計425の病床数が統合後は300に減るため、一部の住民から「混み合って受け入れを拒否されるのではないか」「市外への搬送問題が解決するかは疑問」など、今に至る不安と不満が示されるようになった。

 こうした中、昨年10月の市長選で寺前氏が落選。宮元陸・現市長は新病院の採算性などを見直すため、医療専門家や有識者5人でつくる検証委を同12月に設置した。

検証委は計画担当者からの聴き取りや両病院の視察のほか、今月2日には公募で選ばれた市民と医療関係者計24人から、計画への意見を聴く会を開いた。

 ◆住民感情も複雑

 聴く会では「少子高齢化で人口減少が進む中、借金して建ててまで子どもや孫に迷惑をかけたくない」「新病院で医師を十分に確保できるのか」「医療過疎地には拠点病院が今後も必要」など、計画の再考を求める意見が噴出した。

一方で「障害者にとっては加賀温泉駅前に病院ができると交通の便が良く、買い物をして帰ることもできる」と早期建設を望む声もあり、賛否が分かれた。

 建設地についても反発がある。加賀市民病院は西部の大聖寺、山中温泉医療センターは南部の旧山中町にあり、それぞれの地域医療を支えてきた。

新病院はどちらからも離れた立地だけに、簡単には受け入れにくい住民感情もある。

 市医療提供体制推進室の加藤正則次長は「総事業費が大きく、将来の財政負担を心配する声が多く寄せられている。検証委で経営が成り立つか検討してもらい、答申の結果次第では計画を見直していきたい」と話す。