[論説]公的病院への助成/制度活用の農政運動を

2014.02.12

[論説]公的病院への助成/制度活用の農政運動を
2013.11.06 日本農業新聞 



 財政の悪化で縮小・閉鎖が進む地方の公立病院に代わり、JA厚生連病院や日本赤十字社(日赤)の病院など公的医療機関への期待が高まっている。

だが、自治体からの助成措置は極めて不十分だ。国の特別交付税制度が改正され、市町村が公的医療機関に助成した場合、負担軽減措置が受けやすくなったが十分活用されていない。厚生連病院が地域医療を支えるために、制度の周知徹底を求める。

 公立病院は、産科や小児科、救急医療などの不採算といわれる医療体制も備え、地域の頼もしい存在だ。

だが、市町村財政の悪化と医師不足の深刻化などで、診療科目の縮小や閉鎖など、財政負担を減らす公立病院改革が進められている。

 国は自治体の財政負担軽減と公立病院の機能低下を補うため、2008年度から地域医療を担う厚生連病院や日赤病院などの公的病院に市町村が助成した場合、助成額に応じて特別交付税を交付している。

以後毎年、総務省の省令を改正し、公的病院への特別交付税措置の制度内容を拡充している。

 11年度改正で、公立病院の有無に関係なく、公的病院に助成する都道府県や市町村が交付対象となった。

昨年12月に行った12年度改正では、市町村の助成金が特別交付税で戻るのは、これまで翌年度だったのが、当年度内交付となった。

自治体の財政負担は軽減され、年度をまたがないため事務処理上も議会対策上もやりやすくなり、以前よりも助成が容易になった。

 だが、公的病院への助成は貧弱な実態にある。

全国の厚生連病院110のうち12年度に実際に特別交付税措置を受けたのは半数以下の52病院。

過半の厚生連病院は市町村から助成が出ていない。

52病院への交付金額は総額22億2000万円で、単純平均すると1病院当たり4000万円余り。
厳しさを増す病院経営にあっては、決して少ない額ではない。
それでも「市町村の助成措置も、算定基準通りの額が出ていないところもある」(JA全厚連)と、十分ではない状態だ。

 市町村の対応が鈍い理由の一つに、担当部署が特別交付税の制度改正の中身をよく理解していないことが挙げられる。

少ない負担で助成できることを知らなかったり、助成していても財政事情から助成額を低く抑えたりしてきたが、制度改正で増額が容易になってもそのまま据え置いている、といった状況だ。

 厚生連病院の地域医療活動を安定的に支えることは、地域住民の健康と暮らしの安心を支えることだ。

そのためにも、特別交付税制度の活用による市町村の公的病院への適正な助成の実現が求められる。

省令の通達徹底は国の仕事だが、市町村の担当部署への直接的な働き掛けも重要だ。

現場の実態を示して話す方が説得力もある。JAグループが取り組むべき地域農政運動の課題の一つであり、積極的な働き掛けを期待したい。

日本農業新聞社