商業施設や病院、中心街への移転税優遇

2014.01.09

商業施設や病院、中心街への移転税優遇
政府方針、郊外から回帰促す 自治体所有地も受け皿に
(日本経済新聞1・9)
 

政府は町の中心部に人や都市機能を集める「コンパクトシティー」づくりを促す支援策を固めた。

中心部への移転を決めた企業や土地を提供する地権者の税負担を軽くし、市町村が持つ土地を有効に活用する仕組みも整える。
人口が減っても地方都市で人が暮らしやすくなる効果を狙う。2014年度に実施する。

 政府は人口減がさらに進めば、小規模な都市で医療や教育、買い物などの機能を保てなくなると懸念している。

建設や投資の余力があるうちに、高度成長期に郊外へ散らばった都市機能を中心部に戻すべきだと判断した。

一連の支援策は再開発やリフォームの需要を刺激しそうだ。

 政府は今月召集の通常国会に都市再生特別措置法の改正案を出し、市町村が町の中心部を指定する仕組みをまず整える。

中心部は「都市機能誘導区域」と呼び、鉄道駅やバスターミナルを中心に半径数百メートル程度の範囲で設定する方針だ。

 国の支援策は商業や医療、福祉などの機能を提供する企業に中心街への回帰を促す内容にする。
政府は税優遇と自治体が持つ土地の活用を柱に据える考えだ。

 具体的には中心部に移る企業が、郊外にある施設を売却して得た譲渡益について8割まで課税を繰り延べる。施設を再移転しない限り、繰り延べた税は払わなくて済む。

中心部に移った施設が立体型の歩道などを備えている場合、その部分にかかる固定資産税を当初5年間、2割安くする。

 中心地に移る企業に対して土地を提供した地権者への課税も優遇する。

土地を売った地権者が新しくできた複合施設などに住む場合、譲渡益への所得税をすべて繰り延べできるようにする。

どこか別の場所に移り住む場合も、所得税を15%から10%に、住民税を5%から4%にそれぞれ条件付きで軽くする。
これらの税制上の措置は14年度改正として決まった。

 自治体が町の中心に持つ土地を企業に提供しやすくする仕組みもつくる。
現在は企業が町の中心の未利用地やビルの空室などに移ってきた場合、国と地元自治体で整備費の3分の1ずつを補助しているが、財政難で補助金を出すのが難しい自治体もある。

政府は自治体が所有する土地を民間に貸したり譲渡したりすることで、補助金の代わりとすることを認める。

 国土交通省によると、国や自治体が所有する「公的不動産」は約580兆円分ある。
補助金の代わりに土地を拠出する仕組みの導入で、学校の跡地などを有効に利用できるようにする。

 中心部に人や都市機能が集まれば、企業は集客や事業の採算を見込みやすくなる。

住民は簡単に歩ける圏内で買い物や通院ができ、高齢者の住みやすさは高まる見通し。
医療や介護などに関連した行政サービスの効率化も期待できる。

 一方、中心部の指定から外れた地域では人口減や地価の下落が加速する恐れはある。
住民の合意をどうまとめるかが課題になりそうだ。