寿泉堂綜合病院について

2014.01.23

寿泉堂綜合病院について

[ 院長挨拶 ]

 

 新病院移転が平成23年2月、東日本大震災が同年3月、2年3ヶ月余りが過ぎました。
当時を振り返ると、多くの職員が地震直後の患者受入れ・上層階への搬送に尽力してくれたこと、透析をはじめとする診療や日常生活に必要な水の確保に奔走したこと、通勤方法が制限されたなかを自助努力によって病院機能維持に努力してくれたこと、等が頭のなかをよぎります。身体的疲労は癒えましたが、続発した福島原発事故、放射線漏れが心理的不安を増大させ、今なお尾を引いていると言わざるを得ません。

 県外に避難している郡山住民も少なくありませんが、少しずつ放射線被ばくに関するデータが公表されるようになり、先日も、国連科学委員会から、福島県のヨード、セシウム被ばく量はチェルノブイリの比でなく将来にわたって悪性腫瘍が増加する心配はない、と発表されたばかりです。


それでも、風評をぬぐい去ることは難しいので、挨拶文を書く都度、郡山の被ばく状況を簡単に書き添えることにしています。


現在、郡山市中心部の環境放射線濃度は0.18マイクロシーベルト/時で年に換算すると1.6ミリシーベルト、その分、日本の平均自然放射線1.5ミリシーベルトに上乗せされていますが、世界に目を向けるとインドやブラジルでは各平均4.0(一部地域70)、5.5(同35)ミリシーベルトでありながら、がんを含む健康被害は報告されていません。


昨年11、12月に郡山市内1万1千人余りの小中学生を対象に行った外部被ばく線量(自然放射線を差し引いた値)が計測され、年換算0.57ミリシーベルト、すなわち胸部CT一回の検査で受ける放射線の約1/10、という結果が出ました。

さらに安心できる材料として、普通に流通している食品を摂っている住民の内部被ばく量も年間0.02ミリシーベルト程度で、体内に常時保有するカリウムの年間0.2ミリシーベルトと比較して、桁違いに少ないことが判ってきています。

 病院の近況に目を移しますと、昨年秋、厚生労働省に「地域医療支援」病院として認めていただきました。一般の方には耳慣れないことばですが、日常は近所の開業医でお世話になり、その医療機関が備えていない機器による検査や治療、手術や入院が必要な場合にご紹介いただいて診療する仕組みを推進しなさいということです。


そのため病院に課せられた条件はいろいろありますが、最たるものが「病診連携」を強化することです。患者さんを紹介する医療機関双方で「紹介状」をやり取りし、検査の重複や無駄な時間を省いて効率的な医療をお受けいただける大きなメリットがあります。

病院に勤務する多くの医師が、病棟で入院患者さんのお世話をしながら、同時に外来・救急業務を担当、日常業務の後に当直、翌日も普通に仕事という勤務実態に燃え尽きかかっています。

このように過酷な就労環境を直視し擁護するマスコミの報道姿勢も見られるようになりましたが、一朝一夕で勤務医不足は改善できそうにありません。病状が安定しているときはかかりつけ医の診察を受けるという国民的合意が必要です。

 震災直前の新築移転により、病院のハード面は大きく改善しました。

今年度の事業目標のなかに、接遇の至らなさによって生じる患者さんからの苦情をゼロにしようというテーマを掲げました。小さな取組みかもしれませんが、病気で受診する患者さんを親身になってお世話する、それがホスピタリティの本質であると思い、あえて目標にしました。今後、職員ひとりひとりが接遇に気を配りながら患者さんに接することを期待しているところです。

   福島県、郡山市、そして寿泉堂綜合病院をよろしくお願いいたします。

(2013.6.11 記)