[社説]震災復興 住民の痛み受け止めて加速を

2014.01.05

[社説]震災復興 住民の痛み受け止めて加速を
・・・復興庁の復興推進委員会は「新しい東北」を打ち出し、地域医療体制の構築などを支援。2014.01.04愛媛新聞  


 東日本大震災の被災地は、3度目の新年を迎えた。

 震災に伴う全国の避難者はまだ約27万4千人もいる。

また震災で体調を崩して亡くなり「震災関連死」と認定された人は、昨年9月末で計2916人と、じりじりと増え続けている。震災は現在進行形の悲劇であることを、あらためて胸に刻みたい。

 避難が長期化するほどに、課題や住民の要望は刻々と変化し、新たな困難も生まれてきている。
依然として政治の最重要課題であることを忘れず、被災地最優先で「再生」を加速させねばならない。

 「(復興の)活気ある動きはごく中心部のもので、半島部の集落などは、あの日から時が止まった『津波砂漠』のまま」―岩手県釜石市在住の俳人照井翠さんの言葉は、痛切に被災地の現実を突きつける。

「瓦礫(がれき)が残っているうちは、まだ町の実体があった。人々の生活の痕跡があった。しかし、がらんどうとなった町は、もはや廃墟(はいきょ)そのもの。荒涼とした津波砂漠」…。

 復興庁は「応急的な復旧から本格的な復興の段階へ移行した」と胸を張る。確かに、道路など公共インフラの整備は進み、予算も確保された。

だが安倍政権が公共事業を拡大するや、人手不足や資材の高騰で入札不調が続出。事務や調整の遅れもあって、個々の暮らしに直結する災害公営住宅の整備完了は2%(昨年11月)にとどまる。

避難者全員が新たな生活へ踏み出せるまで、日本中がもう少し我慢し、被災地の事業の加速を後押しすべきだろう。

 2012年度復興費は実に約35%、3兆4270億円が使われなかった。

巨額の予算も、必要な人、急ぐべき施策に届かなければ意味がない。

「本格復興」を目指すなら、まず住民のまちづくりや地域再生への願いを丁寧にくみ上げ、道筋を早く示すことだ。

 復興庁の復興推進委員会は「新しい東北」を打ち出し、地域医療体制の構築などを支援。
年度末にも提言をまとめる。
過疎や超高齢化など東北の問題は、日本のすべての地方の問題。人を育て、つながりを取り戻す先例としたい。

 一方で、福島県の復興の道のりはあまりに遠い。

 「震災関連死」は、福島が過半数の1572人と突出して多い。東京電力福島第1原発事故の影響で長期避難を強いられ、ストレスを抱えるなどの影響とみられる。

廃炉や汚染水処理を急ぐことは当然だが、事故がなかったかのように原発再稼働が推し進められ、廃棄物の中間貯蔵施設受け入れを迫られる現状では、希望は持ちにくい。

 「古里喪失」の痛みは、金銭や建物では決して代償され得ない。その痛みを政治は真摯(しんし)に受け止め、住民のための復興に注力してもらいたい。