NEWSあんぐる/長崎の新市立病院 ER先送り/医師確保 見通し甘く

2014.01.02

NEWSあんぐる/長崎の新市立病院 ER先送り/医師確保 見通し甘く/地方に壁 他と差別化課題
2013.12.30 長崎新聞



 長崎市が設立した市立病院機構が、建設中の新市立病院に設置を目指すER型救命救急センター。

市は来年2月の1期棟開院時に合わせたER設置を明言していたが、専門医の確保が間に合わなかった。

2016年5月の全面開院までの設置を危ぶむ声も聞かれる。

地方の医師確保が難しくなっている状況が背景にあるが、市と機構の見通しの甘さを指摘する声もある。

 ER=エマージェンシー・ルーム(救急救命室)の略=は、専門医を軸に24時間365日対応。症状に関係なく救急患者の初期診断を行う。

機構の兼松隆之理事長はER設置の条件として「専門医が最低3人、理想は7人必要」とするが2人の確保にとどまった。

 県内のある医療関係者は「よほどの魅力がないと医者は集まらない。

もともと見通しが甘かった」と指摘する。

現在、市民病院と成人病センターを合わせた医師は計83人。

だが、11年からの第4次総合計画では、17年3月までに医師92人の確保を掲げている。

 医師を増やすには、研修医の受け入れが欠かせないが、市民病院の研修医はここ数年、0~2人で推移。

その背景には、04年の新医師臨床研修制度変更に伴い、研修医が都市部に偏在化する状況がある。

結果、地方の大学病院は医師が足りなくなり、大学病院から地域医療への医師派遣機能が全国的に衰退。

地方ほど医師確保が困難になっている。兼松理事長は「(92人は)厳しい。ハードルは高い」と漏らす。

 研修医を集める要素として、兼松理事長はER設置に加え、病院が新しくなることを挙げる。

だが厚労省の統計では昨年10月から1年間で全国に96施設が開院。救急医療に取り組む施設総数は4千を超える(11年10月1日現在)。

研修医は新市立病院に特別な魅力を見いだせるだろうか。

 兼松理事長は「地域医療のためにも体制を整え、必ずER設置を達成する」とする。

24日の定例会見でERについて問われた田上富久市長は、設置の先送りには言及せず、「中期計画(16年3月末)の間に実現できるように最大限の努力をしていきたい」と回答。
具体的な方策には触れなかった。(山口紗佳)