入札不調、全国に波及 建設業界の人件費、資材値上がり 現場所長、下請け確保に苦しむ ゼネコン、赤字避け受注手控え

2013.12.17

入札不調、全国に波及 建設業界の人件費、資材値上がり 現場所長、下請け確保に苦しむ ゼネコン、赤字避け受注手控え
2013.12.16 共同通信


 オフィスビルやマンションの建築工事が遅れたり、病院や学校などの工事入札が成立しなかったりするケースが増えている。
建設現場での人手不足が深刻化し、人件費が高騰しているためだ。資材も値上がりし、赤字を避けようとするゼネコンの間では、工事の受注を手控える動きも出てきた。

 

 各地で防災工事が増え、安倍政権が公共事業を拡大すると、人手不足の波は全国に広がった。
国公立の病院や学校は、工事価格の見直しが遅れており、受注業者がなかなか決まらないことも珍しくない。

 建設会社でいちばん苦しんでいるのは、工事を取り仕切る現場の所長だという。技能労働者(熟練工)を抱える下請け業者の確保を任されているからだ。

 東京都内のオフィスビル工事の現場所長は「人手が足りず、工事が納期に間に合いそうにない。
人件費はどこまで上がるのか、見当もつかない」と、頭を抱える。

 「震災復興、各地の老朽化対策、そしてオリンピック。現場のみなさんが『やってられない』と言いだしたら国はもたない。
仕事に誇りが持てる環境をつくります」

 下請け業者でつくる「建設産業専門団体連合会(建専連)」が11月に開いた全国大会。
太田昭宏国土交通相がこう訴えると、場内は大きな拍手で沸いた。

 

 【熟練者2割が60歳超】

 建設現場の中心は、建物の骨組みをつくる型枠工や鉄筋工のような熟練の労働者だ。
全体の2割近くが60歳を超え、東京五輪が開催される2020年までに大半が引退すると見込まれている。建設経済研究所は、作業員が最大で150万人減少すると試算している。

 建専連の才賀清二郎会長は「熟練工を抱えているのは下請け業者だ。このままでは建設業全体が行き詰まる」と危機感を募らせている。

 「500件近い入札予定リストから工事を選別しているが、3割が採算に合わない」。
大手建設会社は最近、工事の「選別リスト」をつくり、入札に応じるかどうか検討を始めた。入札を見送る案件には、病院が多く含まれている。

 3年ほど前、工事費約200億円と見積もられた公立病院の大型案件をめぐり、激しい受注競争が繰り広げられたことがある。
通常では考えられない安値で入札する建設会社が続出した。

 国公立病院の工事は規模が大きいので、各社とも受注に熱心だったが、最近は違う。

「病院の建設は、設計や設備に手間がかかるが、工費は安い。赤字受注の典型だ」(ゼネコン幹部)という。

 国土交通省などによると、入札不調はまず、東日本大震災の被災地で発生した。

コンクリートや鉄骨が不足し、資材が値上がりした。人手を集めるため人件費も上昇し、公共工事の入札価格が予定価格を上回るようになった。

 

 【助成制度の普及急ぐ】

 建設現場の賃金は、ピーク時の6割程度に下がっている。仕事がきついというイメージも強く、若者に人気がない。

 同省は下請け労働者の社会保険への加入や、熟練工を育てる助成制度の普及を急いでいる。
優秀な熟練工に特別な手当てを支給するゼネコンもあるが、人手不足を解消するめどは立っていない