東京・首都圏経済入札不調、生活に影

2013.12.12

東京・首都圏経済入札不調、生活に影
都内の保育所・高齢者施設、計画延期や凍結続々 資材高騰などが深刻化(12/12
日本経済新聞)

 
建設業界の人手不足や資材高騰が続き、保育所や高齢者施設といった生活に身近な施設の整備に影響が広がっている。

予算内で工事を請け負う建設会社が見つからない入札不調などを受けて、東京都内の自治体で事業を大幅に延期したり、計画自体を凍結したりするケースが出てきた。2020年の東京五輪の建設需要で、状況はさらに悪化する懸念もある。


全国最多の待機児童を抱える東京都世田谷区は、来年4月を予定していた3カ所の認可保育所の開所を、来夏に延期する。

入札不調などで当初予定の来春に間に合わないためだ。保坂展人区長は9日の記者会見で、「保育所の工事が進まない緊急事態」と危機感をあらわにした。

 工事は運営する民間事業者が発注したが、区によると「1回目の入札で1社も請け負う会社が無く、再入札でやっと事業者が出てきても、工期の延長がなければ工事ができないといわれた」という。

非常措置として区は建設地に近い場所にそれぞれプレハブの仮設園舎を作り、来春から一部でも預かれるようにする。

 ただ、3つの保育所を合わせた定員計336人のうち、仮設で受け入れられるのは181人。

保坂区長は「4月に開所できればよかったが、(住民には)ご不便をかけて申し訳ない」と話す。

 高齢者施設などが入る複合施設の建設を延期することになったのは東京都中央区。

総工事費は13年度予算で約88億円。

図書館や郷土資料館などが入り16年にオープンする予定だった。

ところが、共同企業体(JV)2団体が入札の申し込みをしていたが、建築資材の高騰などで区の予定価格では採算が合わないと判断したとみられ、いずれも辞退。工事を頼むところがなくなった。


入札では区内の事業者に限定するほか、サービスの内容や技術力を細かく加味する「総合評価方式」を採るため、決定に時間がかかる。

区経理課は「仮に再入札で予定価格を上乗せするとしても、予算に限界がある」と頭を悩ませる。

来年度の再入札のメドも立たず計画が大幅に遅れる可能性もあるという。

 一方、豊島区は2回目の入札が不調となっていた「西部地域複合施設」の計画を凍結する。

点在する区西部の区民事務所や図書館などを集約して利便性を高める狙いだったが、「事業費をこれ以上引き上げるのは困難」と判断した。

 同施設は15年度中に完成を予定していたが、14年度中をメドに規模縮小などによって、「現在の約60億円の予算内で建設できるかを見極める」としている。

既に事業費を約44億円から増額しており、高野之夫区長は「(約60億円という)この額をさらに上積みすることは許されないと考えた」と説明。
凍結が長期化する場合を見据え、暫定的な西部区民事務所をプレハブで設置する。

 調布市は京王線柴崎駅前の駐輪場を拡張する工事を計画したが、入札に参加する業者がなかった。既存の駐輪場には多いときに100人以上のキャンセル待ちが発生しているが、来年3月としていた利用開始時期がずれ込む見通しだ。

当初は工事を市内の事業者に限定していたが、再入札では市外の事業者に対象を広げることも検討している。