過剰な「重症」病床削減 診療報酬を抑制 入院料金、算定基準厳しく 厚労省来年度、慢性病向け移行促す

2013.12.04

過剰な「重症」病床削減 診療報酬を抑制
入院料金、算定基準厳しく 厚労省来年度、慢性病向け移行促す (日本経済新聞 12・4)

 厚生労働省は、症状の重い患者向けの病床の削減に乗り出す。
余分な高コストの病床を減らし、医療費の抑制につなげる。
病院が受け取る入院料金を国が高く設定しているため供給過剰になっており、入院料金を算定する基準を厳しくする。
不足ぎみになっている慢性病患者向けの病床への移行を促す。国の2014年度予算で焦点となる診療報酬の改定で、抑制策の柱に据える。

 


 診療報酬は、公的医療保険から病院などが受け取る診療の対価。
税金のほか、患者の自己負担や企業や個人の保険料でまかなう。総額では40兆円規模に及び、高齢化などから膨張が続いている。

国の歳出では10兆円強に及ぶ。
2年に1度の改定時期となる14年度の予算編成作業で大枠の調整が始まった。
厚労省は症状の重い患者向けの病床の削減を目玉とする。

 診療報酬のうち、病院が受け取る入院料金は、受け入れを想定する患者の症状の度合いで差をつけている。
症状が重い患者向けの病床では1日1万5660円。軽い人向けに比べると、最大7割も高く算定される。

 厚労省は、入院患者の症状が重いかどうかを判定する基準を厳しくして、重症患者向けの病床を減らす。患者の症状の重さは治療の状況から判断しているが、治療に使う薬品などを条件に追加して、重症患者の範囲を絞る。

厚労省の試算では、基準を厳しくすることにより、こうした患者向けの病床を設置できる病院は現状から約3割減らせるとみる。

一部に全面適用を遅らせる経過措置も設けながら、14年4月の実施をめざす。厚労省は、重症患者向けの病床を25年度までに現状の半分の18万床まで減らす方向で一段の対策を検討する。

 重症患者向けの病床は、06年度の診療報酬改定で救急医療などの充実のため新たに導入した。
要件さえ満たせば高い収入を受け取れるため、病院側は厚労省の思惑を大きく超えて、病床の整備に動いた。

 病院は一定の条件をクリアすれば、重症患者向けの病床を設けられる。
看護師を患者7人に対し1人以上と手厚く配置するほか、入院の平均日数を18日以内と短くすることなどが必要になる。
患者の一定割合が、重症度の判定基準を満たすことも求めている。

 重症患者向けの病床は約36万と、病院全体(療養病床含む)の4割にまで増えている。
現行の仕組みを導入した06年度からは約8倍。相対的に軽い症状の患者向けの病床は減少傾向にある。

 その結果、さほど症状が重くなくても重症患者向けのベッドで入院している例も増えており、医療費のムダを生んでいる。
症状が回復した患者が移れる病院が少なくなるなど、医療サービスも非効率になっている。