消費増税分は社会保障にこう使われる

2013.11.21

消費増税分は社会保障にこう使われる(朝日新聞2013年10月11日)
 

「社会保障を安定させ、厳しい財政を再建するため、財源の確保は待ったなしだ」。
安倍晋三首相は、来年4月からの消費増税を表明した今月1日の会見で、こう強調した。

 今回の増税は、社会保障との「一体改革」として議論されてきた。
もともと民主党政権が始めたが、昨年夏に自公民3党で合意し、安倍政権が引き継いだ。

 予算の3割を占める社会保障費の財源不足を穴埋めするため、国は借金を重ねてきた。
これに歯止めをかけ、社会保障をたて直すのが改革のねらいだ。消費増税法では、増税分は「年金」「医療」「介護」「少子化対策」の社会保障4経費に使うと定める。

 だが、増税しても、社会保障がそれほど手厚くなるわけではない。
というのも、一体改革では、増税分の大半を社会保障の今の水準を保つために使うと想定しているからだ。

 具体的な使い道は、基礎年金の財源が足りない分、医療や介護、年金にかかるお金が高齢化で自然に膨らむ分、税率引き上げで診療報酬などの支出が増える分など。
これらに増税分を充てることで、国の赤字を減らす。政権はこれを社会保障の「安定化」と呼ぶ。

 サービスの質や量を今より良くする「充実」に回せる財源は、あまり残らない。

税率が8%に上がる来年度では増収分全体の1割(5千億円)、10%になった後に税収が満額入る2017年度でも、2割(2・8兆円)にとどまる。保育所の整備や地域医療の体制整備などに使われる。

 しかも、10%まで増税しても、「社会保障の安定財源確保」というゴールは遠い。
政府の試算では、17年度の時点で社会保障4経費にかかる総額と消費税収を比べると、20兆円近く足りない。

 高齢化の影響で、社会保障にかかるお金は、国が出す分だけで毎年1兆円ほど増え続ける見通しだ。
すべてを増税だけでまかなおうとすると、国民の税負担がどんどん重くなっていく。

 このため一体改革では、社会保障の「効率化」も議論されてきた。
保険料や利用者負担を引き上げたり、給付対象を絞ったり、といった内容だ。だが、これらで節約できるのはせいぜい年間数千億円とみられる。

 安倍首相は「世界に冠たる皆年金・皆保険制度を次世代に引き渡していく」と言う。
だが今回の改革はその一歩にすぎない。専門家らからは早くも、「さらなる増税や社会保障の効率化について、議論を急ぐ必要がある」という声が出ている。(石松恒)