医療費適正化の決め手 医薬分業を廃止しよう

2013.11.20

医療費適正化の決め手 医薬分業を廃止しよう
2013.11.23 週刊東洋経済


社会保障費、とりわけ医療費の適正化の決め手は何か。筆者の考えるところ、医薬分業の廃止である。

 日本で医薬分業が本格化したのは1990年以降だ。それまでは、病院(医院)の中に、薬の窓口があり、そこで必要な薬が処方されていた。これを院内処方という。

 この頃は薬の値段(薬価)=利益率が高かったので、病院側は不必要な薬まで処方して患者を「薬漬け」にし、経営を支えていた面があった。
これに対して、医者は治療に専念し、調剤は病院の外にある薬局が担当する医薬分業の必要性が叫ばれたのだ。

 二つの施策が取られた。一つは、薬価の引き下げだ。30%くらいだった薬の利益率は、現在、平均で8%まで下がったといわれている。病院側では患者を薬漬けにするメリットが少なくなった。

 もう一つは、病院の外で調剤薬局が調剤する場合(院外処方)と、病院の院内処方で料率に差をつける施策だ。
院外処方の料率を有利にした結果、院外処方のシェアは大きく伸び、2011年には構成比が65%にまでなった。

「調剤バブル」の発生

 ここに、ある調剤薬局の10月31日付の領収書がある。総額2万220円。
うち薬代は1万7600円。その他の2620円は調剤技術料、薬学管理料等の名目になっている。
この「その他」が一般人にはよくわからない。

 昔は、薬の分量は粉末を秤で量って、微妙なさじ加減で調整したものだが、今はほとんどが錠剤になっており、それを分包するだけでいい。
調剤は5分くらいでできる。

 5分で2620円とは、いい商売ではないか。薬剤師の処方枚数は厚労省令で1日40枚以内と決められているが、それでも1日10万円を超える収入になるのである。

 日本医師会総合政策研究機構の矢澤真奈美さんが、院内処方と院外処方の調剤料を比較している。

たとえば、7日分の薬を調剤した場合、院内では640円、院外では2810円。30日分の薬を調剤した場合は、院内では640円、院外では4230円だ。

 この結果、今何が起きているか。矢澤さんも指摘しているとおり、「調剤バブル」が発生しているのだ。

都心にある国家公務員共済組合連合会が運営する大病院。院内処方から院外処方に切り替えたら、周辺に14の調剤薬局が誕生したといわれている。

 1990年と2010年を比べると、医療費全体は1・8倍なのに対して調剤医療費は11・6倍に膨れ上がっている。中医協の資料によると、公立病院は1施設当たり、3億円超の赤字に悩んでいるのに、保険薬局(調剤薬局、サンプル数915。実際は4万軒以上ある)は平均1000万円の利益を出している。

 歪んだ実態を正し、社会保障費の削減を行うには、医薬分業をやめるか、院外処方の料率を大幅に下げるしかないのではないか。(ケースケ)