梅村さとしの『今の医療政策で満足ですか』

2013.11.20

:梅村さとしの『今の医療政策で満足ですか』
日経メディカルブログ2013. 11. 18

働くほど儲からない職業ってなに?


著者プロフィール
梅村さとし(前参議院議員、元厚生労働大臣政務官、医師)●うめむら さとし氏。
2001年阪大医学部卒。
阪大病院、箕面市立病院などを経て、07年参院議員に当選。
12年厚労大臣政務官に就任。
13年7月の参院選で民主党から出馬も落選。
現在、再び国政を目指して在野で勉強中。
ブログの紹介
医師として医療政策の不備を感じ、32歳の若さで政治の世界に飛び込んだ梅村氏。
参議院議員一期目にして厚生労働大臣政務官も務めた経験から、医療政策の問題点や今後のあり方だけでなく、一般人にはいまいち実態がつかめない政治の“裏側”も綴ります。
 
 医師の労働環境
 「国会議員は儲かりますのん?」

 参議院議員に当選する前も在職中も、私は何度となくこの問い掛けをされました。
今でも時々聞かれます。あまり深く考えずに返答することが多かったのですが、改めて考えてみたいと思います。

 収入を話題にするとき、職業が同じだからといってひとくくりで語れないことは、読者の皆さんもよくお分かりになると思います。
実は国会議員も同じです。「えっ!国会議員の収入がバラバラ?歳費(国会議員に支給される給費)は国で決められているのではないの?」。そう思われた方も多いと思います。

 正確に言えば「収入は変わらないが、手取り額がバラバラ」なのです。
国会議員の歳費等は1年生議員もベテラン議員も全く同額です。中には不動産収入があったり会社を経営していて、別の報酬がある国会議員もいますが、「国会議員としての収入」は全員同じなのです。

議員事務所はちょっとした中小企業
 じゃあ「バラバラ」とはどういうことなのか
。詳しく述べると、どこの政党にも属さずに何も政治活動をしなければ、この「国会議員としての収入」は全部本人のものになります。
ですから、もし国会議員として「できるだけ儲けたい」と思うのであれば、何もしないことが一番です。
逆に言えば、政治活動をやればやるほど持ち出しが増えていきます。

 「公設秘書3人分の給与は国から出るし、政党交付金もあるんじゃないの?」

 これもよく指摘されます。秘書は議員の地元と東京との両方に必要になりますから、一般的には計7~8人雇うことになります。
政策担当、会計担当、広報担当、渉外担当、議員随行者……。こう考えてみると、ちょっとした中小企業です。

 ということは、4~5人の秘書の給与はやはり自前で準備しなければなりません。
他の必要経費も発生し、政党交付金だけでは不足しますから、その補てんを「国会議員としての収入」からも行うのです。
他の必要経費とは……。例えば、私は某医療メディアの月刊誌でコラムを掲載していて、その冊子を後援会員に郵送するため、郵送代だけで月10万円以上かかっていました。
実は今も郵送を続けているので、同様の出費が続いています。

「勤務医の時より手取り額は減りました」
 また、私は既に民主党を離れたので書いてもよいかと思いますが、地元の同党大阪府連に対してある程度の金額の寄付を納める必要がありました。

 もちろん寄付をいただいたり、パーティーを開催することもありますので、「国会議員としての収入」からどれくらい補てんするかは人それぞれです。
しかし、一般的には政治活動を熱心にすればするほど、いわゆる「手取り額」は減っていく傾向にあると思います。

 あと本題から外れますが、私たちの世代の国会議員には議員年金は全く存在しません。
私が加入しているのは、満額月6万5000円もらえる「国民年金」のみで、月1万5000円の保険料を納めています。
健康保険も各議員は国保等に加入しますので、特別扱いは何もありません。

 ということで、冒頭の「国会議員は儲かりますのん?」という質問の答えは、「私(梅村)の場合は、可処分所得を比較すれば、勤務医の時よりも減りました」になります。

 私は貧乏自慢をしたりするつもりはありません。
ただ、「政治家は金銭的においしい思いをするからやってるんちゃうんか?」という見方をされる方もおられると思いますので、私の話も参考にしながら色々と評価していただければと思います。

 悲しい現実ですが、「何もしない政治家」が「一番“おいしい”思いをする人」になります。
しかし、私の個人的な感想を言えば、金銭だけでは計ることができない大きなやりがいが、国会議員という仕事にはあることも事実です。議員生活の6年間で、どんなことにやりがいを感じたのか――。
次回以降、一つずつ振り返りながら述べていきたいと思います。