需要高まる「産後ケア」 専門施設で「ゆっくり母に」

2013.11.13

需要高まる「産後ケア」 専門施設で「ゆっくり母に」
2013.4.3 
武蔵野大学付属産後ケアセンター


助産師から個人の悩みに沿った対応が受けられる =東京都世田谷区武蔵野大学付属産後ケアセンター桜新町では、助産師から個人の悩みに沿った対応が受けられる =東京都世田谷区
 
出産後の母親と赤ちゃんをケアする「産後ケア」の需要が高まっている。
高齢出産の増加で実家の両親が高齢化したり、両親も働いていたりと、「里帰り出産」が難しくなっていることが背景にあるようだ。(油原聡子)

 ◆宿泊施設も

 東京都世田谷区と武蔵野大学が共同で平成20年に開設したのが「武蔵野大学付属産後ケアセンター桜新町」だ。

24時間体制で助産師ら専門スタッフが母子を支援する。生後4カ月までの乳児と母親が対象で、児童相談や授乳、沐浴(もくよく)指導、乳児の健康状態管理などが行われる。

 萩原玲子センター長は「お母さんが頑張り過ぎないような育児を教えています」と話す。
センターでは「ゆっくりお母さんになってください」をメッセージに掲げている。

 3月中旬、1月に生まれた長女と初めてセンターを利用した同区の主婦(34)は「出産後は家に閉じ籠もっていたので、自分の育児が合っているのか心配だった」と話す。

 便の回数や授乳など育児本や病院で習った通りにいかないと焦ってしまった。
授乳のため、睡眠時間もろくに取れない日々が続いた。だが、センターでは食事や睡眠の時間にスタッフに長女を預けたり、育児で不安なことを直接聞いたりできる。主婦は「自分に合った方法を教えてもらえるし、安心して過ごせました」。

 萩原センター長は「産後の母親は休養が必要。出産後、体が戻るには6~8週間かかる。でも、今はなかなかサポートが得られない状況」と説明する。

 かつては里帰り出産が主流で、産前産後は実家の両親や親族が母親を支えていた。
だが、高齢出産の増加で母親の両親世代も高齢になったり、両親世代が働きに出ていたりと支援が得づらい状況に。少子化の影響で子供に接する機会がないままに出産し、子育てに直面するケースもある。

 センターは1泊2日で6万4千円。世田谷区民には9割補助が出る。宿泊とデイサービスを含め、20年度の利用者は約300人だったが、23年度は約730人に上った。

 ◆出産前から

 東京マザーズクリニック(東京都世田谷区)では、退院後の母親からの相談に応じている。母乳外来を設けたのも母親が相談しやすい環境作りの一つだ。

 だが、山本玲香師長(39)は「産後ケアは妊娠期から始まっている」と話す。
妊婦健診のときから産後を視野に入れた指導を行う。出産がゴールではないことを自覚してもらい、赤ちゃんのいる生活にギャップを持たず、安心して育児に入れるように支援するのが理想だという。

 
国立保健医療科学院特命統括研究官の福島富士子さん(母子保健)は「核家族化が進み、両親に手伝いに来てもらおうにも夫婦も広い家に住んでいないので長期間滞在が難しい。

宿泊施設やショートケアなど母親が退院してから元の生活に戻るまでのギャップを埋めるための支援がまだ足りない」と指摘。

そのうえで、「今まで2世帯同居や里帰り出産で学んでいた生活の基本や子育ての知恵が伝わりにくくなっている。
産後ケアの中でそういった知識を伝えていく必要がある」と話している。

                  ◇

 ■宿泊型ケアは2%

 厚生労働省の研究班(福島富士子代表)が実施した調査によると、宿泊型産後ケア事業を実施している自治体は2%だった。

 調査は昨年11月~今年1月、市区町村の母子保健担当者に実施し、785自治体が回答した。

 それによると、宿泊型産後ケア事業の実施は17自治体で、全体の2%。
実施内容で最も多かったのが育児指導。乳房ケアや母親の身体的観察、母親のメンタルヘルス支援も行われていた。しかし、「母親のネットワークづくり」は行われていなかった。




http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/katei/sanzensango/