「専門性」癒着の温床に 医療機器購入巡る贈収賄事件 /群馬県

2013.11.09

「専門性」癒着の温床に 医療機器購入巡る贈収賄事件 /群馬県
2013.11.07 朝日新聞



 公立碓氷病院の医療機器購入をめぐる贈収賄事件を受け、安中市が今月から病院の物品購入の入札過程を見直した。
専門知識が必要な医療機器などの購入では、以前から公務員と業者の癒着による違法行為が各地で起きてきた。病院を運営する自治体が、どうチェック機能を高めるかが問われている。


 事件を受け、安中市は、購入額10万円以上を目安に市の入札執行委員会で審議するよう見直した。
従来は院内の委員会で購入品や指名業者を決め、市は業者に入札参加資格があるかどうかを確認するだけだった。

 事件では、碓氷病院の臨床工学科長田村秀樹容疑者(47)が収賄、医療機器販売会社「ジーエムエス」社長鈴木武吉容疑者(54)が贈賄容疑で逮捕された。
県警によると、2011年12月の入札で、田村容疑者がジー社に便宜を図り、謝礼としてハワイ旅行の接待を受けた疑いがある。

 市によると、田村容疑者は10年に透析室の看護師長に。
ジー社は10~13年、透析室の医療機器の入札に6回参加し、すべて落札した。
落札額は計3518万円。田村容疑者は当時、透析室の機器購入要望を委員会に上げる立場だった。

 碓氷病院の入札に参加実績がある県内の医療機器販売会社の担当者は「役所の契約部門よりも、病院の専門科の方が製品を売り込みやすい」。
実際に使う現場のニーズに合った利点や機能を説明できるからだ。

 入札前の機種選定が落札結果に影響するとし、「選ばれた機器のメーカーの代理店を務める会社が価格面で当然有利になる。
製品の良しあしでなく、意図的に特定機種を選ぶことがあってはいけない」と話した。


 ●渋川、市が業者選定・県、額で分け審査 「病院任せ」の自治体も

 県内には碓氷病院を含めて公立病院が16ある。県と渋川、藤岡、伊勢崎の3市が安中市と同様、単独の自治体として運営している。

 渋川総合病院を運営する渋川市では、病院が選んだ物品が適正かどうかや同等品の有無を市が確認し、入札の指名業者も市が選ぶ。
購入額500万円以上の場合は市の入札審査会に諮る。市契約検査課の担当者は「病院の要望がそのまま通ることはない」と話す。

 4病院を運営する県病院局は、購入額160万円超で各院内の委員会、契約形態に応じて1千万円超で総務課協議、2500万円超で局長協議と額に応じたチェック機能が働くとする。
院内に複数の専門職員がいるため、「1人がすべてを取り仕切ることはない」。

 一方、国民健康保険鬼石病院を運営する藤岡市、伊勢崎市民病院を運営する伊勢崎市は、医療用の物品の入札はすべて病院に委ね、市の委員会などによるチェックはしていないという。

 藤岡市契約検査課の担当者は、病院事業が企業会計で独立し、「機器を購入する場合、市では適切な機器や業者が把握できない」と背景を説明。
専門性がある職員は頻繁に異動もさせにくい。「同じ職場に長年いれば業者との距離が縮まることもあり得るが、公務員としての意識の問題だと思う」(仲程雄平、井上怜)