静岡市、2病院独法化へ 「非公務員」に職員反発 /静岡県

2013.11.07

静岡市、2病院独法化へ 「非公務員」に職員反発 /静岡県
2013.11.06朝日新聞



 静岡市が市立静岡、清水両病院の運営を新たに設ける「地方独立行政法人」=キーワード=に移す方針を固めた。経営の自立性を高め、人材確保や医療サービスの向上につなげる狙いだが、職員側は「非公務員型」構想に反発。職員でつくる労働組合は6日夜、緊急の幹部会議を開き、対応を協議する。職員の処遇をめぐり、曲折も予想される。


 市は2010年、赤字が長く続いていた静岡、清水両病院の経営形態見直しに着手。
今年の9月市議会で地方独法化を打ち出した。

 市によると、「地方独法」「指定管理者制度」「民間譲渡」の3形態に絞り、議論を重ねた結果、指定管理者制度と民間譲渡は「公の役割の継続性について懸念があり、現実的ではない」として、選択肢から外したという。

 独法には市が全額出資するほか、経営者の理事長の任命や「中期目標」の指示、決算の承認などの権限を握る。
そのため、地域医療の砦(とりで)として高度、救急医療や採算が取りにくい重症心身障害医療などの政策医療は「維持される」という立場だ。

 独法化すれば、県内では県立総合病院など県立3病院に次ぐ。
黒字化している静岡病院は16年度の移行をめざす半面、実質赤字続きの清水病院では約10年後の移行を目標に掲げる。

 市は15日まで市民の意見を募ったうえで、独法化の年内決定をめざす。
市病院経営課は「独法化は医療の質向上が目標だ」などとして、公務員でなくなる看護師や医療技師職ら職員側に理解を求める。

 だが、市では過去に例がないだけに、職員の反発は大きい。市職員労働組合連合会が静岡病院で10月21日に開いた集会時のアンケートでは「移行に反対」との声がほとんどだった。

 市職労は現在、独法化した事例を県内外から集め、解析を進める一方、市民アンケートの全戸配布を検討中だ。
遠藤義仁書記長は「提案はあまりに唐突。
結論ありきの姿勢に不信感を抱いている」と批判する。

 4年前に独法化した県立総合病院を営む県立病院機構によると、独法移行後、医師は36人、看護師は146人、増加した。
機構は「意思決定が簡素化され、医療ニーズに迅速に対応できるようになった」(担当者)と話す。

 だが、独法化の問題点として「経営改善や効率化を重視するあまり、政策医療が後まわしになる恐れもある」と指摘。「その点については十分に留意する」と話した。

 (床並浩一)


 ◆キーワード

 <地方独立行政法人>

 「地方独立行政法人法」に基づく法人。
公共性のある事業で地方自治体が直接手がける必要はないものの、民間にゆだねることが適当でない事業などをするために自治体が設立する。
非公務員型の「一般地方独法」と役職員が公務員の「特定地方独法」に大別される。
独立採算が原則で、理事会の意向が経営を大きく左右する。一方、全額出資の自治体は、理事長を任命するほか、中期目標を指示するなど、経営に関与する。


 ■静岡市立2病院の損益

       静岡病院        清水病院

 区分     純損益   実質損益  純損益 実質損益

 2007年    2   ▼128   50 ▼280

 2008年    3 ▼1,277    2 ▼383

 2009年    5   ▼515   82 ▼878

 2010年  101    101  108 ▼587

 2011年  544    544   99 ▼347

 2012年  333    333   45 ▼255

 (単位・百万円、▼は赤字(損失)、実質損益は補助金を考慮しない数値)


 <市立静岡病院>

 病床数506床、診療科25科、医師数106人、看護師数390人、医療技術職数96人(いずれも2012年度)。病院長は島本光臣医師(心臓血管外科)。葵区追手町

 <市立清水病院>

 病床数500床、診療科24科、医師数72人、看護師数309人、医療技術職数97人(いずれも2012年度)。病院長は藤井浩治医師(脳神経外科)。清水区宮加三