議会と院長 信頼関係失われ*事態好転は不透明

2013.10.28

議会と院長 信頼関係失われ*事態好転は不透明
2013.10.26 北海道新聞 


 【松前】木村真司院長をはじめ常勤医7人が辞職願を出す事態に発展した町立松前病院前事務局長の再雇用をめぐる問題は、25日の臨時町議会で月額報酬上限を50万円とする「非常勤参与」を新設する条例改正案が可決され、一つの節目を迎えた。

ただ、木村院長と町、議会との信頼関係はすでに失われており、条例改正が事態好転に結びつくかどうかは不透明だ。

 「こんな審議では納得できない。
町民を愚弄(ぐろう)したやり方だ」。
臨時会を傍聴した「松前病院を守る会」の高山智会長(81)は怒りをあらわにした。

 当然だろう。そもそも木村院長が、前事務局長の再雇用後の給与として1年以上前から町に要望していたのは月額40万円だった。

それを「定年退職者の再雇用は20万円が上限」と突っぱねたのは町側だ。
町議会にいたっては、その月額20万円でさえ認めなかった。

 それが、この日の臨時会で町は一転して報酬上限を50万円に引き上げる条例改正案を提出。
「病院の安定経営と町民の医療充実を目指し、優秀な人材を確保するため」と提案理由を淡々と説明後、議員による質疑や討論は一切なく、わずか8分間で可決された。

 この条例案に異論がないなら、なぜ執拗(しつよう)に前事務局長の再雇用を否定してきたのか-。町民なら誰もが思う疑問だ。
しかしこれまでの流れを180度転換する議決にもかかわらず、提出した町も、賛成した議会も、その理由に触れることなく臨時会は閉会した。

 今回の問題の発端は、前事務局長と一部議員との確執にあったとされる。
しかし当初は「前事務局長の再雇用問題」だったはずが、常勤医7人が辞職願を出し、町の医療体制を維持できるかどうかの大問題に発展。
町民の批判も高まったことから、町、議会とも対応を一変させざるを得なくなったようだ。

 遅きに失した感は否めないが、地域医療の危機を回避したい石山町長が木村院長に歩み寄る姿勢を示したのは確かだろう。
ただ、当の前事務局長は臨時職としての任期も切れ、すでに9月末に退職した。

 議会側にどこまで関係修復の熱意があるか定かではなく、「私の気持ちは全く揺らぎません」と語る木村院長の辞意を翻意させるのは並大抵ではなさそうだ。

(恵本俊文)