(声)医学部新設は問題多すぎる

2013.10.14

(声)医学部新設は問題多すぎる
2013.10.13 朝日新聞



 大学教員 井樋栄二(宮城県 57)

 「医学部新設 解禁へ」という記事に危機感を強く抱いた。
政府が、東日本大震災で被災した東北地方を念頭に、医師不足解消のために医学部新設を認める意向だという。

 しかし、被災地に医学部を作ればそこの医師が増える、というような単純な話ではない。
2004年度からの初期臨床研修制度導入に伴い、研修医は大学医局による研修先の割り振りではなく、自分の好きな病院で研修を受けることが可能になった。

これが研修医の大都会・大病院集中を加速。
都会における医師過剰、過疎地における医師過疎化が急速に進んだ。医学部を増やすことは、医師の偏在に拍車をかけるだけだ。

 それどころか、医学部を1校新設すれば、そこに教員として医師が数百人も必要になる。
働き盛りの医師たちが地域病院から新設医学部に引き抜かれれば、深刻な地域医療崩壊に結びつきかねない。

 日本医師会の推計では、このまま医師が増え続ければ人口千人当たり医師数は20年に経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均に到達するという。

重要なのは医師の偏在解消であり、人口が減少する日本で、その数をこれ以上増やすことではない。安倍晋三首相に再考をお願いしたい。

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東北薬科大も医学部構想 新設認可、厚生会などと競う 教員の医師確保課題 /宮城県
2013.10.12朝日新聞


 東北薬科大(仙台市青葉区)は11日、医学部を新設する構想を発表した。
地域医療に貢献する医師の養成を掲げ、2015年の開設を視野に入れる。医学部の新設は、財団法人厚生会仙台厚生病院と東北福祉大(同区)が連携して意欲を見せており、薬科大と認可を競うことになりそうだ。


 会見した東北薬科大の高柳元明学長によると、医学部設置に向けた検討は11年から進めていた。
定員は100人。幅広い病気や症状に対処できる「総合診療医」や、災害医療に強い医師の育成を目指す。

 卒業後の地元への定着を促すため、定員10人ほどの「地域特別選抜枠」や東北の病院で勤務する義務を負う奨学金制度も設ける。

 高柳学長は「地域医療に貢献する意欲と使命感を持った医師を養成する医学部が求められている。『東北医科薬科大』の実現を目指す」と述べた。

 今年4月に付属病院として開いた旧東北厚生年金病院(宮城野区)の建て替えや新キャンパスの整備も計画。少なくとも約230億円の費用が見込まれるが、自己資金で対応できるという。

 構想を従来の基準に照らすと、教員として147人の医師を確保する必要がある。
高柳学長は「医師の確保は最大の課題。(東北の医師不足に拍車をかけないよう)東京以西の大学に依頼したい」と述べた。

 一方の厚生会仙台厚生病院と東北福祉大は連携して構想を計画。地域医療への貢献や臨床重視の教育方針を示し、開設に向けた準備を進めている。

 医学部の新設は、1979年の琉球大を最後に認められていなかったが、安倍首相が今月、復興支援のために検討するように下村博文文科相に指示。
解禁に向けて動き始めている。これに対し、日本医師会は「教員となる医師の確保が、かえって地域での医師不足につながる」などとして新設に反対している。(福島慎吾)