奥能登の救急搬送強化 医師乗せ16日実証 ヘリで金沢市から出動 県、本格運用へ

2013.10.12

奥能登の救急搬送強化 医師乗せ16日実証 ヘリで金沢市から出動 県、本格運用へ
2013.10.11 北国新聞


 消防防災ヘリを活用した能登北部地域(奥能登)の救急搬送体制強化で、県は16日、金沢から医師や看護師をヘリに搭乗させ、患者を搬送する予行演習を行う。

原則、奥能登の医師が乗り込む形だったが、医師不足がネックで使いにくかった運用方法を改め、今秋からの本格運用へ効果を実証する。


 演習は珠洲市内からの患者の搬送要請を想定し、県立中央病院、珠洲市総合病院、県消防防災航空隊、奥能登広域圏事務組合消防本部、金沢市消防局が参加する。

 消防防災ヘリは小松空港を離陸して県庁前で県立中央病院の医師、看護師を乗せて珠洲市に出動。
同市総合病院近くの広場で患者を収容して県立中央病院に向かい、ヘリ活用による搬送時間の短縮効果を確かめる。

 これまで、消防防災ヘリを患者の搬送に使う際は、要請した地元の医師が乗ることが求められ、医師の配置に余裕のない奥能登では使いづらい仕組みだった。

 奥能登の4公立病院はいずれも入院患者を扱う2次医療機関で、例えば、珠洲市内から救命救急センターが置かれる3次医療機関の公立能登総合病院や県立中央病院に陸路で搬送する場合、能登総合病院が片道約2時間、県立中央病院が同約3時間かかるが、ヘリだと往復で2時間程度と見込まれている。

 県は奥能登2市2町の要望を受け、心肺停止や呼吸困難など患者の症状によって金沢から医師が搭乗して出動できるようヘリの運用基準を見直し、予行演習を経て本格運用を目指す。


■〔視点〕 広域連携も抜かりなく

 医師不足が指摘される奥能登からヘリに医師を乗せる場合、搬送中は地元の医療体制が手薄になり、奥能登の医療関係者からは「医師が搭乗するのは賭けのようなもの」との声が上がっていた。
金沢から医師が乗り込むことで、そうした心配がようやく除かれるが、ヘリには検査のための休止期間がある。その間の対応は万全だろうか。

 消防防災ヘリは毎年、検査で40~50日程度の休止が余儀なくされ、今年は部品交換のため6月15日から8月末までと長引いた。
この間、相互応援協定に基づき富山県や福井県、航空自衛隊のヘリが計13回出動し、このうち奥能登へは珠洲市と輪島市舳倉(へぐら)島と2件の出動があった。

 県によると、これから、石川のヘリが休止期間に入れば、奥能登の救急搬送で富山や福井のヘリが金沢で医師を搭乗させる。
両県ヘリの医療装備は「基本的な水準を備えており、石川と大差ない」(石川県健康福祉部)が、いずれも石川のように出動時に医師が乗り込む仕組みはない。

 全国でドクターヘリの導入が進む中、石川は地上の救急医療体制拡充を優先する。
そんな中、消防防災ヘリの積極活用で空の搬送ルートが広がることは、奥能登の現状に配慮した例外的なケースとも言える。
休止期間にも対応できるよう、隣県に運用ルールの周知を徹底し、抜かりなく広域連携を進めてほしい。(山本佳久)