減る産婦人科 医師確保課題 助産所、出産補助 模索続く

2013.10.08

減る産婦人科 医師確保課題 助産所、出産補助 模索続く
2013.10.07 上毛新聞



 出産を受け持つ医療機関が減少している。

労働環境が厳しく、訴訟の対象になりやすいため、産婦人科の医師が少なくなっているのが理由だ。

館林邑楽地域では、2つしかない診療所のうち1つが今春に受け入れをやめた。

吾妻郡内も1カ所のみで、遠距離の病院へ通う事例がでている。
県は県内医療機関の研修医らに資金を貸与するなど、医師確保に努めているが、抜本的な解決には至っていない。
少子化に歯止めがかからない現状で、どの地域でも安心して子どもを産める仕組みをつくるのが、行政の最大の課題だ。


◎遠距離通院

 中之条町伊勢町の主婦、田村梢さん(32)は1人目の長女を妊娠して4カ月の時、通院していた近くの医院が出産への対応をやめることになった。
医師が高齢となったことなどが原因。
吾妻郡内の産婦人科は長野原町にあと一つあるだけ。
医師からは転院するよう言われ、前橋市内の産婦人科病院を選んだ。「初めての出産は不安。
自宅近くで産みたかったのにショックだった」と振り返る。

 自ら車を1時間運転して通院。
出産直前は、万が一に備えて渋川市の実家に住んだ。
2人目の妊娠で通院する時は、長女を母親に預けなければならなかった。
田村さんは「近くで産むという選択肢がなく、一人ではとても出産できない」と訴える。

 館林邑楽地域も同様に産科は一つしかないが、妊婦のこうした心身の負担を減らそうと、医療関係者が動きだした。

館林厚生病院(館林市成島町)を運営する邑楽館林医療事務組合の議会が8月、病院と連携した助産所の開設を検討するよう、組合管理者の安楽岡一雄市長や宮城修院長らに要望書を提出した。

 総合病院の産科を維持するには最低3人の医師が必要であり、同病院は医師不足の影響で2006年から産科の入院を休止した。

現在は非常勤医師2人が婦人科外来を担当しているが、常勤医を確保しての産科再開は難しいのが実情。
助産所なら医師数が少なくても対応でき「地元での出産」が再び可能になる。

 県によると、出産を受け持つ病院や医療機関、助産所はことし6月時点で41カ所。06年と比べて11カ所減った。


◎肉体、精神的負担

 背景には産婦人科と産科の医師の減少がある。

厚生労働省の調査では、県内の医療機関に勤務する医師は10年末時点で4145人で04年末より237人増えたが、産婦人科医と産科医は162人で10人減。産婦人科医は24時間の対応が必要なうえ、医療訴訟を起こされるケースも少なくない。肉体的、精神的な負担が大きく、なり手不足の背景となっている。

 医師が交代で診療できる態勢であれば、過労を防ぐことができることから、県は06年度から県内の研修医らの定着に向け、県内の医療機関に勤めることを条件に研修資金を貸与する一方、医療機関には出産1回に1万円を補助し、状況の改善を目指す。

 さらに県は、群馬大と連携して、医師確保と地域偏在解消を目指す「県地域医療支援センター」を立ち上げる方針。医師確保対策室は「少しでも安心して出産できる環境整備につなげたい」としている。

(報道部 堀口純、館林支局 赤石知子、中之条支局 外処郷平)