認知症入居者に過剰診療か 岐阜の施設、一部架空の疑い

2013.10.07

認知症入居者に過剰診療か 岐阜の施設、一部架空の疑い
(朝日新聞10・6) 

高齢者施設と診療所を運営する岐阜県の社会福祉法人が、認知症の入居者に対し、家族の了解を得ずに毎日のように訪問診療するなど過剰とみられる治療を受けさせていたことが朝日新聞の取材でわかった。
一部には架空診療の疑いもある。

医療費3カ月で55万円
 
■連日訪問、親族の同意不要
 いまの制度では、意思疎通が難しい施設入居者を訪問診療する場合、親族の同意を得ることが医師に義務づけられておらず、各地の施設でも過剰診療に歯止めがかかっていない可能性がある。
厚生労働省は調査する方針だ。
 
この法人が運営する岐阜県各務原市のケアハウス(定員50人)に、同市の女性(66)が昨年9月から今年3月まで入居した。隣接の診療所も同法人が運営しており、そこから医師が入居者を訪問診療している。
 
女性は認知症で入居前は月1回の通院で診察や血圧検査を受けていた。ところが、夫(69)が受け取った医療費通知や診療費明細によれば、ハウスでは大みそかや元日を含めほぼ毎日、訪問診療や訪問看護を受けたことになっていた。
自己負担分を含む医療費の総額は月20万円超にのぼった。
 また、昨年9月半ばから25日間、床ずれの処置のために別の病院に入院したが、その期間もハウスで訪問診療・看護を受けたと記されていた。
退所した次の日も、訪問看護を受けたとある。
女性はいま、月1回の通院に戻った。
 
この社会福祉法人に朝日新聞が9月中旬に取材を申し込んだ数日後に、法人から夫に、昨年9月の医療費に「事務職員の手違い」があったと手紙が届き、妻名義の口座に7030円が振り込まれた。
ただ「手違い」の内容や金額の根拠について説明はない。
 入居中の訪問診療も、実際は毎日受けていなかったのではないかと夫は疑っており「納得できる説明を医師から聞きたい」と話す。
 
この社会福祉法人は、朝日新聞の取材に「極めて高度な個人情報で開示できない」として応じていない。
 
医療保険制度では、判断能力のない患者が病院に入院する場合、診療内容を記した入院診療計画書に家族の署名がなければ、病院は入院料を保険請求できない。

ただ、高齢者施設の入居者への訪問診療には、こうした規定がない。
厚労省保険局医療課は「認知症患者に過剰な訪問診療をすることは不適切。現在、このような事例も含め調査しており、診療報酬改定などで対策を検討していきたい」としている。(塩入彩、沢伸也)