社会保障制度改革国民会議報告書を読む (1)総論部分 この記事は『厚生福祉』2013年10月1日6021号からの転載です。

2013.10.28

社会保障制度改革国民会議報告書を読む (1)総論部分
この記事は『厚生福祉』2013年10月1日6021号からの転載です。

亀田総合病院副院長
小松  秀樹

2013年10月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行(要旨引用)  
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●結論
報告書が提案している負担増、給付の縮小、サービスの効率化を実行する必要があることは間違いない。

しかし、現状の出生率を前提にする限り、社会保障制度は破綻する。

出生率を高めること、将来の現役世代の収入を高めることなしに、社会保障制度は持続できない。

出生率が高くならなければ、大規模な移民、それも高学歴層の移民を受け入れざるをえない。

ただし、移民先として、現在の日本に魅力があることが前提となる。

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2013年8月6日、社会保障制度改革国民会議の報告書が、清家篤会長から安倍晋三総理大臣に手渡された。

●「社会保障制度改革の全体像」の要約

1.今回の会議は、従来の経緯を前提として引き継いでいる。
2012年8月10日、社会保障・税一体改革関連法が可決され、消費税を段階的に10%に引き上げることが決定された。
消費税収は社会保障財源化され、増収分の具体的な活用先が決定された。

2.国の基礎的財政収支対象経費に占める社会保障関係費の割合が4割を超え、税収は歳出の半分すら賄えていない。
社会保障の継続性、世代間の公平性の観点から問題である。
受益と負担のバランスを取る必要がある。
社会保障制度改革と財政健全化は、同時達成しなければならない。

3.社会保障制度は社会保険方式を基本とする。
社会保険方式は「自助の共同化」を意味する。公助は自助・共助で足りない困窮者を対象とする。

4.「自助努力を支える」「負担可能な者は応分の負担を行う」ことを基本的考え方とする。

5.徹底した給付の重点化・効率化が必要である。

6.男性労働者の正規雇用・終身雇用と専業主婦を前提とした1970年代モデルでは、現役世代は雇用、高齢者は社会保障で生活保障がなされていた。
21世紀(2025年)日本モデルでは、年金・医療・介護に加えて雇用・子育て支援・格差・住まいが重要になってくる。
雇用・子育て支援・格差・住まいには財源が確保されていなかったため施策が不十分だった。

7.女性、高齢者、若者の就労を支援して、支え手を増やす。

8.子育てを社会全体で支援する。

9.大都市では高齢者が急増している。過疎地では高齢者を含めて人口が急減している。
地域ごとに状況が異なる。
地域ごとの客観的なデータに基づいて医療・介護の提供体制を構築する。
社会福祉法人、NPOが地域の「互助」を支援する体制を形成する。

以上まとめると、高齢化のため、社会保障費が増大している。
しかも、経済成長は停滞したままである。
このため膨大な財政赤字が生じた。
社会保障制度を持続していくためには、増税、保険料の増額、給付の削減、サービスの効率化が必要である。

また、従来、社会保障の対象となっていなかった、子育て支援を含めた若年層への対応が必要である。