松前病院 前事務局長の人事*院長と町、対立深刻*議会も反発*収拾の道見えず

2013.09.20

松前病院 前事務局長の人事*院長と町、対立深刻*議会も反発*収拾の道見えず
2013.09.19 北海道新聞


 【松前】町立松前病院の人事をめぐって、木村真司院長と町、議会との間の対立が激しさを増している。

3月末で定年退職となった当時の同病院事務局長の再雇用について、その手腕を評価し好待遇の維持を求める木村院長と、規定に沿って給与減額を主張する町の交渉が事実上決裂。

その後、木村院長が自らの裁量で人事発令し、あくまで前事務局長の待遇を保障しようとしたことに議会も反発、事態収拾の道筋は見えない。(恵本俊文)

 6日の町議会決算審査特別委員会。
町立松前病院の前事務局長が担当した2012年度町病院事業会計決算は、監査委員から11項目もの付帯意見が付いたあげく、委員8人の採決でも7対1という大差で異例の決算不認定になった。

 「これが院長の言う『余人をもって替え難い人物』の仕事なのか」。
ある議員の発言が、木村院長との対立の根深さを物語る。

 問題の発端は12年春にさかのぼる。病院黒字化の中心的役割を担った前事務局長が1年後に定年を迎えるのに当たり、木村院長はその経営手腕を「余人をもって替え難い」と評価。再雇用に向け町と交渉に入った。

 交渉のポイントは再雇用後の給与をいくらに設定するかだった。
町は定年者を再雇用する際、給与を月額上限20万円と定め、現在は15万円で運用している。
これに対し、木村院長は、前事務局長が病院経営の中枢を担う重責にあり「他の施設管理などの業務とは異なる」として月額40万円を主張。
交渉がまとまらないうちに前事務局長が定年退職となる今年3月末を迎えてしまった。

 問題を複雑にしたのが、同病院が地方公営企業法の「全部適用」を導入している点。
予算執行権は町にあるが、予算編成権や人事権は「病院管理者」の木村院長に移譲されているのだ。

 町との交渉が「時間切れ」となったことで、木村院長は病院管理者の裁量で、前事務局長を非常勤嘱託員として採用する4月1日付人事を発令した。
この人事で、前事務局長は「管理者補佐」として月額40万円の給与を得ることになった。

 この人事に町は猛反発し、撤回を要請した。院長側は「非常勤嘱託員を含む病院の人事は、病院事業管理者が自由に決めることができる」(全国病院事業管理者協議会)との見解から、これを拒否。

「病院事務局長の上位やこれに準ずる人の採用には町長の同意が必要」との見解をとる町側との話し合いは平行線をたどった。
最終的に4月下旬、道保健福祉部が仲裁に入り、前事務局長を臨時職員として再雇用、給与は月額20万円とすることで表面上は決着をみた。

 ただ3月定例会で病院事務局から「これまでの経緯やバランスもあり、給与は上限20万円が妥当」との答弁を引き出した議会は、その後の木村院長の対応を厳しく批判。

同病院非常勤嘱託員に関する条例案から、前事務局長の現在の肩書である「経営アドバイザー」を削除する修正動議を可決するなど対立は先鋭化。地域医療の砦(とりで)をめぐる騒動は簡単に収まりそうにない。