医療体制の整備が狙い 国保に財政規律を

2013.09.17

医療体制の整備が狙い 国保に財政規律を
2013.09.15 共同通信 



 -国民健康保険(国保)の移管の狙いは。
 
「一番求められているのは、今後の急速な高齢化や医療ニーズの変化に対応した、効率的で質の高い地域医療を提供する体制の整備だ。
そのためには、医療計画の策定に責任を持つ都道府県が、国保の財政責任も担うべきだ。これが改革をより実効あるものにする上で必要だと考える」
 
-今の国保制度にどのような問題があるか。
 「加入者には無職者や失業者、非正規労働者などの低所得者が多い。年齢構成が高く、医療費がかさむ。所得が低い割に保険料の負担が重いなどの問題から保険料を上げられないことも。
このため国保会計の赤字補填のため市町村が、一般会計から法定外の繰り入れをしばしば行っている。
さらに小規模の市町村では財政運営が不安定になるとか、保険料格差が大きいという問題がある」
 
-国保の赤字は。
 「2011年度でみると、国保制度全体で500億円の黒字だ。
しかし、赤字穴埋めとなる法定外の繰り入れが3500億円あり、実質的には3千億円の赤字。
市町村の人口規模に比例し赤字が大きくなる傾向がある。
被保険者1人当たりの法定外の繰入金を都道府県単位で集計するとトップの東京は3万円を超え次が神奈川、埼玉の順だ」
 
-市町村の運営努力に問題はないのか。
 
「11年度の保険料収納率は全国平均が89%。町村が93%に対し、政令指定都市・特別区は87%と低い。
徴収漏れの保険料のかなりの部分を一般会計から穴埋めしていることになる。
所得水準に見合うように保険料を引き上げ徴収することは、住民や議会の反発もあり難しい。
このため財政力のある大都市部では、引き上げる代わりに一般会計から穴埋めしている、という指摘もある」
 

-運営主体を都道府県に移せば解決するのか。
 
「全国知事会が主張する通りだ。
つまり移管するだけでは、問題は何ら解決せず、巨大な赤字団体を生むだけだ。
仮に後期高齢者医療制度のように、都道府県内で一律の保険料とすると、地域の医療費の多寡、健康づくりの努力が反映されなくなる。
このため全国的には、町村部の保険料が上がる半面、都市部の保険料が下がり、かえって不公平が拡大する。モラルハザード(倫理観の欠如)を招くことになる」
 
-知事会は保険の一元化も言っているが。
 
「健康保険組合など被用者保険との一元化は非現実的だ。
赤字対策は後期高齢者医療に対する被用者保険からの拠出を負担能力に応じて求め、浮いた協会けんぽへの国庫補助分を国保の財政対策に充てる案が軸だが、国保の運営努力を損なわないものにしてほしい」
 
-その他には。
 
「国保の運営で最も大事なのは保険料の決定だ。都道府県が、医療提供水準に見合った保険料水準を市町村ごとに定めるべきだ。
赤字には、国が資金援助し都道府県ごとに設ける基金を使う。
赤字が出た市町村は、基金からの貸し付けを受け、保険料を引き上げるなどして返済する。法定外繰り入れはやめ国保会計の財政規律を守るべきだ」
 
-市町村と都道府県の関係はどうなるか。
 
「保険料の徴収や保健事業を通した医療費の適正化対策は従来どおり市町村が分担するなど、都道府県と適切に役割を分担し協働する。
分権的な広域化を目指すべきだ」
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 やまさき・やすひこ 45年広島県出身。横浜市大卒。社会保障研究所、上智大教授などを経て11年から現職。社会保障制度改革国民会議委員。著書に「医療制度改革と保険者機能」(編著)など。