架空診療所を設け不正請求か 訪問診療装い報酬請求

2013.09.02

架空診療所を設け不正請求か 訪問診療装い報酬請求

9・2朝日新聞

架空診療所の入り口。歯科医院の名前、診療日、診療時間が書かれた紙が張られていた=東京都あきる野市

 【月舘彩子、沢伸也】東京都の医療法人が架空の歯科診療所を設け、そこから訪問診療しているように装って診療報酬の請求を繰り返していたことが分かった。

訪問診療は診療所から16キロ内しか認められておらず、さらに遠い場所を訪問するための偽装工作だ。

厚生労働省は不正請求の疑いが強いとみて調査を始めた。
架空診療所、張り紙だけ
 
厚労省などによると、この医療法人は八王子市などで六つの歯科医院を運営し、16キロ以上離れた奥多摩地域にある複数の高齢者施設に定期的に出向いて入居者の歯を治療していた。

このままでは訪問診療の診療報酬を請求できないため、2010年3月に架空診療所を高齢者施設から16キロ内のあきる野市につくり、そこから訪問したとして請求していたという。

 診療所には常勤管理者が必要だが、架空診療所の管理者は約50キロ離れた江戸川区の歯科に勤め、架空診療所には行ったこともないという。

診療所には治療台もなく、パイプいすだけがあった。厚労省が昨年末に調査した後、診療台が置かれたという。
 
この医療法人は「行政の調査を受けている。
結果が出ていない段階で答えられない」と話す。
厚労省は朝日新聞が報じた患者紹介ビジネスに加え、架空診療所についても幅広く調べており、不正請求があれば行政処分する方針だ。
 
日本医師会常任理事の鈴木邦彦医師は「架空診療所は都市部を中心に歯科だけではなく医科にもあると聞く。

今回は氷山の一角ではないか」と話す。
訪問診療を受けている千葉県の患者が夜間に近くの診療所に電話して医師を呼んだところ「東京から行く」と言われた事例も報告されているという。
鈴木医師は「緊急対応できないと患者にも悪影響を及ぼす」と指摘する。
     ◇
 〈訪問診療の距離制限〉 医師や歯科医師が患者が暮らす自宅や施設に出向いて診る際、直線距離で16キロ以内でなければ訪問診療として診療報酬を請求できない。
患者の急変に対応するため、厚労省が通知している。離島などで例外的に認められることもある。