町立松前病院・木村院長が辞職願*運営は 地域に動揺*「大きな病気が心配」*町や議会と対立解けず

2013.09.30

町立松前病院・木村院長が辞職願*運営は 地域に動揺*「大きな病気が心配」*町や議会と対立解けず
2013.09.28 北海道新聞

 
【松前】町立松前病院(100床、常勤医師10人)の木村真司院長(48)が27日、辞職願を石山英雄町長に提出したことで町内に動揺が広がっている。

木村院長は理由について「地域医療のよい仕組みが松前でできると思って着任したが、軌道に乗ったところで辞めることになるのは遺憾の極み」と語った。町内には、院長がいなくなることで今後の病院運営を不安視する声が広がっている。(菊池圭祐、恵本俊文)

 木村院長は2005年11月、札幌医大地域医療総合医学講座助手から着任。診療科を越え患者を診る「全科診療」を進め、若手医師を研修で受け入れるなど育成にも力を入れている。

 木村院長と町、議会は、院長と共に病院運営を担ってきた前病院事務局長の継続雇用を巡り対立。
今年4月に道保健福祉部の仲介で町と交わした、前事務局長を「経営アドバイザー」として雇用し、人事権など院長の権限を尊重するよう町に求めた覚書が履行されないとして、辞職願提出に至った。

 辞職の時期を半年先の14年3月末としたことについて、木村院長は「今後の医師確保を円滑に進めること、来年の町の各種計画を立てる時期であること」の2点を配慮したと語った。

また「医師の勤務は年度区切りが原則で、医師確保の面でもそうだ。現在研修中の医師や、これから来る研修医との約束をほごにできない」とも述べた。

 一方、辞職願を受けた町側の対応は何も決まっていない。
石山町長は「問題は出向職員だった前事務局長の人事の一点。
(継続雇用に)最大限配慮したつもりだったが理解が得られず残念。町民の動揺も心配だ」とうなだれた。

 突然の辞職願提出に、町民には驚きが広がった。町内弁天の無職糸谷和雄さん(80)は「院長が来て病院の経営状態が良くなった。
長くいてもらいたかった」。
入院家族の見舞いに訪れた町内白神の主婦近江谷泰子さん(59)は「院長はよく患者に声を掛け気さくな人。今後、大きな病気になったら木古内か江差まで通うことになるかもしれない」と不安を語った。

 一方で、町内松城の会社社長金子幸弘さん(54)は「辞表を出すならすぐ辞めるべきだ。
今までの議会との問題も院長と事務局長の側に原因がある。撤退による実質的な町民の損失は低いのでは」と話した。

*大きな財産失った

 吉川修身・函館市病院局長(病院事業管理者)の話 松前は地域医療のモデルケースだった。
お金をかけずに教育を徹底することで若い医師を集めるという手法を木村院長が実践し、やっと実を結んだところだったのに、残念だ。
松前は大きな財産を失った。函館や木古内など道南のほかの病院にも影響が出るだろう。

*木村院長と町、町議会との経過

 2012年春 院長と町が病院事務局長(当時)の継続雇用について協議開始

   10・1 院長が病院事業管理者に就任

13年3・31 前事務局長が定年退職。院長が非常勤嘱託員の辞令交付

   4・15 町、採用撤回を求める指示書

   4・23 道保健福祉部の仲裁で町長と院長が覚書を交わす

   6・21 定例会で、役場OBの事務職員も非常勤嘱託員として再雇用できるとする条例案を否決

    9・7 定例会で、2012年度病院事業会計決算を不認定

    9・9 町病院事業職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案に対し、前事務局長の現在の肩書「経営アドバイザー」を削除した修正動議が可決

   9・27 院長が町長に辞職願を提出