患者を生きる:2302)腎と泌尿器 前立腺がん:2 「まさか」のロボ手術

2013.09.25

患者を生きる:2302)腎と泌尿器 前立腺がん:2 「まさか」のロボ手術(朝日新聞 9・25)

前立腺がんの診断が確定し、大きなショックを受けた=兵庫県川西市内の自宅で
 
昨年秋のMRI検査で、前立腺がんの疑いを指摘された団体職員の男性(67)=兵庫県川西市=は同年12月26日、確定診断をする「針生検」を受けるため、大阪大病院に入院した。
 
「嫌だけど、なるべく意識しないようにしよう」。

だが、思いとは裏腹に、翌27日、普段は最高130程度の血圧値が180台に上がった。
血圧が高いままだと、出血を伴う生検を受けられない恐れもあったが、少し気持ちを落ち着かせると、血圧値は正常に戻った。
 
生検は肛門(こうもん)から器具を入れて針を前立腺に刺し、採った組織ががんかどうか調べる。
針は通常12カ所に刺すが、男性は念入りに調べるため、2カ所多く刺した。
約30分の検査は麻酔をかけるため痛みはない。刺した部位からの出血も少量で済み、28日に退院した。
 
結果がわかるのは約20日後。
正月は例年と同じように長男や長女の家族が自宅に集まった。
いつもなら、酒を飲みながらにぎやかに過ごす時期。「気分的にも全然おいしいと思わなくなった」と飲まなかった。
確定診断をじっと待つ状態では、「いい話」にはならないから、誰も話題にはしなかった。
 
1月17日、妻(64)の運転で阪大病院に結果を聞きに行った。
妻は「がんと違うでしょう。大丈夫、大丈夫」と、つとめて明るく振る舞った。
 
その数時間後、主治医で泌尿器科教授の野々村祝夫さん(51)は二人に「がんが見つかった」と告知した。
生検でがんが見つかったのは、14カ所中、計5カ所。がんの進行程度は、前立腺内にとどまっており、ステージBと診断された。
 
妻は「がんなの。うそでしょ」と思った。
告知以降の説明や会話は頭に入らなかった。男性は「予想よりも見つかった箇所が多かった」とショックを受けたが、「がんなら全部切ってもらおう」と心に決めていた。
 前立腺の全摘出を希望した男性に野々村さんは「阪大病院では手術ロボット『ダヴィンチ』を使っています」と説明した。
医療に関わる仕事柄、遠隔操作で医師の手と同じように動くロボットアームで手術する「ダヴィンチ」の存在自体は知っていたが、「まさか自分が受けるとは夢にも思っていなかった」。
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