一般病床の機能分化に関する議論が活発化――「7対1」の算定要件は厳格化の方向

2013.09.24

一般病床の機能分化に関する議論が活発化――「7対1」の算定要件は厳格化の方向
2013.09.20 薬事ニュース


 「病院完結型」から「地域完結型」の医療への転換を目的とする医療制度改革の実現に向けて、一般病床の機能分化に関する議論が進んでいる。


改革に見合った新たな診療報酬体系を確立するとともに、医療法改正を通じて病床機能の明確化を図る。

すでに中央社会保険医療協議会では、増え続ける「一般病棟7対1入院基本料」の算定要件を巡り、厳格化させる方向で議論を開始。

また、法整備の観点では、各医療機関が持つ医療機能を都道府県に報告する仕組み「病床機能報告制度」を整備し、それに基づいて都道府県が地域の医療提供体制の将来像を示す「地域医療ビジョン」を策定する方針だ。


■7対1の受け皿に「亜急性期病床」
 
7対1入院基本料は06年度診療報酬改定で、急性期医療の充実化に向けた観点から、最も手厚い看護体制を整備した評価体系として導入された。

しかし、各病院ともに診療報酬がより高い7対1の算定を目指す傾向が強く、届出病床数は06年の新設から継続的に増加。
厚生労働省の資料によると06年には4万4831床だったが、07年に16万2730床と3倍以上に増え、12年には35万2802床にまで達しており、6年間の増加率は約8倍となっている。
 
そのため、12年度改定では7対1の算定要件の見直しが議論の俎上に載せられ、最終的に

▽重症の入院患者の受け入れ割合を10%以上から15%以上に引き上げ
▽平均在院日数を「19日以内」から「18日以内」に厳格化する対応を行った。
 
14年度の診療報酬改定に向けても7対1の算定要件をより厳格化する方向で議論が進んでいる。
 
中医協の下部組織の「入院医療等の調査<CODE NUM=00A5>評価分科会」がまとめた中間報告書では、まず7対1について「複雑な病態を持つ急性期の患者に対し、高度な医療を提供する」と定義。

その上で平均在院日数の実質的な短縮を目指し、短期間で退院可能な手術などを、日数算出の計算式から除くことを提案する。
 
さらに、特定の病態であれば90日を超えて入院しても、平均在院日数の計算対象から外す「特定除外制度」について、
▽平均在院日数の計算対象に含める
▽計算対象にはしないが、点数の低い療養病棟入院基本料の算定にする――のいずれかを病院に選択させる。

平均在院日数の数値自体に関しては、「14年度改定では動かないだろう」との見方が強い。
 
このように7対1の算定要件を厳しくする一方、その受け皿として「亜急性期病床」を拡充させる。
亜急性期病床の役割・機能について報告書では、
▽急性期病床からの患者の受け入れ
▽在宅などにいる患者の受け入れ
▽在宅への復帰支援――などと位置付けている。
 

亜急性期に関する診療報酬では現行、
▽看護配置が13対1▽退院患者の復帰率が6割以上――などを要件とする「亜急性期入院医療管理料」があるが、厚労省によると12年7月時点での届出病床数は1万7551床に留まる。
分科会の報告書では新要件案に、重症度<CODE NUM=00A5>看護必要度や二次救急病院の指定、在宅療養支援病院の届出などを掲示し、「評価を充実させることが必要」と提言する。
 
ただ、中医協の診療側委員は「7対1の削減ありきの提案」として反発を強めており、さらには支払側委員からも「7対1が30万床超を占めることを考えると、現場が混乱するような論理を押し通すのはどうか」として慎重な対応を求める意見も出た。
しかし、ある病院団体の幹部は「厚労省は今回、7対1の要件厳格化に向けて本腰を入れている」とみている。


■病床区分の報告制度で「地域医療ビジョン」を策定へ
 一方、法整備による機能分化の推進策としては、各医療機関が持つ病床機能の情報を都道府県に報告する「病床機能報告制度」を整備し、各医療機関から寄せられた情報を活用して、二次医療圏ごとに地域の医療提供体制の将来像を描く「地域医療ビジョン」の策定を目指す方針だ。
 
報告制度は、医療機関が持つ病床機能の現状や方向性を選択し、病棟単位で都道府県に報告する仕組み。
寄せられた報告などを踏まえて都道府県は、患者・住民にわかりやすい形で公表するほか、補助金を活用して機能分化に向けた取組みを支援する。
 
病床機能区分は病期で分けたもので、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4区分に分類。

より高度な急性期医療を提供する病床機能を「高度急性期」として「急性期」から独立させた。

急性期を経過した比較的軽度な「ポストアキュート」は「急性期」が対応し、在宅や介護施設の患者が急性増悪した「サブアキュート」を「回復期」が担う。
 
厚労省は9月13日の社会保障審議会・医療部会で、「地域医療ビジョン」の策定に向けたスケジュール案を提示している。

それによると今年度後半から来年度にかけて報告制度の運用を開始。

寄せられた情報を取り込んだ上で、都道府県や医療関係者を交えた検討会を立ち上げ、来年度中に「地域医療ビジョン」のガイドラインを整備し、都道府県による「地域医療ビジョン」の策定に繋げたい考えだ。

ただ、医療関係団体や全国知事会などからは策定時期を巡り、より柔軟な対応が可能となるよう求める声もあがっている。