医師に患者を紹介、鍼灸院を舞台に不正請求か

2013.08.27

医師に患者を紹介、鍼灸院を舞台に不正請求か
 20213・8・26朝日新聞
 

【月舘彩子、沢伸也】患者紹介ビジネスを手がける大阪市の業者が鍼灸(しんきゅう)院に患者を集め、医師の診療を受けさせていたことが分かった。

患者の居住場所以外で診ても、訪問診療として診療報酬を請求することはできないが、医師は自宅で診たように装って不正請求した疑いが強い。

厚生労働省は調査する方針だ。

はり治療、覚えないのに年160日
 この紹介業者は大阪市中央区の医療コンサルタント会社。
近畿で350以上の鍼灸院や医師約50人と契約を結んでおり、「鍼灸院に患者を集める業者は全国にある」と話している。
 
同社の契約書などによると、患者約5人を同じ時間帯に鍼灸院に集め、医師がそこへ来て次々と診る。
医師は診療報酬の2割を紹介料として業者に支払う。
 
厚労省の通知では、医師が訪問診療として診療報酬を請求できるのは自宅や施設など患者が暮らす場所に限られ、鍼灸院で診ても請求できない。

だが、患者への医療費通知や患者らの証言によると、医師は鍼灸院でしか診ていないのに訪問診療として請求した。

請求時に診察場所を記す必要はなく、紹介業者は医師や鍼灸院への営業で「どこで診ているかはわからないから大丈夫」と説明していた。
 
鍼灸院が患者を5人集めるのは、医師が一度に診察できて効率が良いからだ。
紹介業者から営業を受けた鍼灸院が録音した記録によると、業者は「(5人だと)時給に換算するといいカネになる。
人数が少ないと医師と交渉しづらい」と話している。
 
鍼灸院にも利点がある。
はり師やきゅう師の治療の保険適用には、医師の診断と同意書が必要だ。

医師が鍼灸院に来て一度に多くの患者の同意書を書いてくれれば、患者の自己負担は1~3割になり、「客」を呼び込みやすい。
このため鍼灸院も、患者の1症状あたり税込み3150円を同意書発行料として紹介業者に支払う仕組みだ。
 
紹介業者は「鍼灸院の要望で始めた。
勉強不足で見切り発車でやってしまった。ただ、最終的には医療機関が判断してやったこと。う
ちの手法を模倣して自分でやっている医者もいる」と話す。医師は取材に応じていない。
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 〈患者紹介ビジネス〉 患者をまとめて医師に紹介し、見返りに診療報酬の一部を受け取るビジネス。医師が紹介業者に支払う紹介料の相場は、訪問診療報酬(患者1人につき月約6万円)の2割。
訪問診療の報酬が外来の15倍に上ることに着目した新手のビジネスだ。法令の規制はないが、厚生労働省は不適切として規制を検討し始めた。
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 患者紹介ビジネスなど「医療とカネ」に関する情報を特別報道部に電子メール(tokuhoubu@asahi.com)でお寄せ下さい。