『社説』 過疎債事業拡大  地域も活用策に知恵絞れ

2013.08.16

『社説』 過疎債事業拡大  地域も活用策に知恵絞れ
2013.08.14 高知新聞



 政府は、過疎自治体の財政支援の範囲を広げる方針を打ち出した。

 人口減少率や財政力など一定の基準を満たした市町村が事業費の工面に発行できる過疎債の対象事業を拡大するという。

 過疎債は、本県の28市町村を含む全国775市町村が特措法で発行が認められている。元利償還金の7割を国が肩代わりし、財政力が弱い自治体には「有利な起債」と呼ばれたりする。

 これまで、市町村道や地場産業関連施設の整備などハード事業、一部のソフト事業に活用されてきた。

 ただ自治体からは、老朽化したごみ処理施設や火葬場の建て替え、第三セクター鉄道の関連施設などに利用したいとの要望が出ていた。

 そこで政府は、関係政令を改正し2014年度からの対象拡大を目指している。工場を過疎債で建設し、誘致企業に貸し出す方法も検討中で、活用次第では過疎地の活力アップになる可能性がある。

 過疎地の人口は国民全体の1割にも満たないが、国土面積では6割弱を占める。少子高齢化は共通の課題としても、自治体ごとに住民が必要としている公共サービスは異なるはずだ。

 対象事業が増えれば、自治体はそれだけ住民の要望に沿った行政サービスが行えるだろう。知恵を絞って、疲弊した地域を少しでも盛り上げるような方策を探りたい。

 ただし過疎地には強力な味方でも、過疎債が借金であるのは変わりない。1970年に最初の特措法が制定されて以来、10年ごとの時限立法で費やされた事業費は全国で80兆円を超している。当初は利用先がハード整備に限定され、「箱物依存症」とも呼べる弊害が生じた。

 その反省もあり、2010年に特措法が6年間延長された際、地域医療や過疎バス運行などソフト事業に使えるようになった。本当に地元に必要な事業なのか。過疎債の活用策を住民自ら探る作業は、地域の将来をどう考えるかにもつながる。

 本県では、地域の支え合い拠点となる「あったかふれあいセンター」の運営事業費に過疎債を活用するなど、将来を見据えた取り組みが徐々に広がっている。過疎地の中には集落の存続自体が危ぶまれている地域もある。どんな活用策が最も有効なのか。県民全体で広く考えたい。
 
http://www.soumu.go.jp/main_content/000238155.pdf